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19回 追放イベントに従って、新天地へ

父上との密談の後、俺は佐助と何とか連絡を取り、先ほどの話の通り、十分な金子と装備一式、馬を宗秀や側近たちが集まる利府城に届けさせた。すでに抜け道には、伊賀衆が準備しているようで、俺の指示で黒葉佩衆も備えに向かった。一部は置いていく。伊達家の内情を探らせるとともに調略を進めるにも拠点は必要だからだ。それでも8割近くは、伴っていくつもりだ。


次の日、俺は、身支度を整え、本拠に向かった。城内にはすでに十分な黒葉佩衆を控えさせている。父上の芝居が失敗した場合の備えである。まあ、これは念のためだ。最上も俺がいなくなれば十分なはずだ。民の信頼を完全になくせば、内政は立ち行かない。後継者争いで敗れたという貞操整えれば、十分と思っているのだろう。既に昨日の時点で、追放の件は、商人や農民の主だったもの達には伝えておるので、俺を追放させた時点で民の信頼はマイナススタートで俺が4年かけて大金によって築いた商人間の繋がりは俺以外には持てないため、彼らも遅れて拠点を南部家に移すそうだ。勿論、真珠の養殖も停止するため、伊達家の今後の発展は見込めない。今後、発展するかどうかは、彦太郎の腕にかかっているが、身分をはっきりと分けているあいつには無理だろうな。

そして俺は、家臣団、母上、彦太郎、そして最上家からは、最上家当主の最上義守と義守を幼少から家老として支えた勇将、天童頼長が来ていた。この追放イベントを最上家がどれだけ重要視しているかがわかるようだ。


「蒼次郎、父である儂を裏切るとはどういうことだ!あれほど目をかけてやったというのに。」


予定通り、父上は俺をこの連中の前で叱責した。勿論、証拠はない。ただ、たとえ、グレーであっても白でなければ、当主が黒と言ったら黒となるのがこの戦乱の世である。こちら側についている家臣たちのほうが多く、実力もある者たちばかりだが、伊達家存続のために、何も俺に対して助け舟を出さないように、昨日の時点で文を出してある。


最上家側は、俺の死罪を望んだが、母上は情けで国外追放にしてほしいといった。最後に母親らしい姿でも、家臣団に見せたいのだろう。そうすることで、家臣団の信頼を得ようとするのだ。愚かなことだ。彼らの主要人物の殆どには、今回の一連の騒動を正確に伝えている。今更、母上や彦太郎に従う奴らではない。


彦太郎はここ4年で様変わりした。何を吹き込まれたのか、俺を軽蔑した目で見ている。結局、最上側と父上の一言で俺の国外追放が決まった。

「元気にするのですよ。」


あの追放イベントを受けて俺は、利府城に来て、身支度を整えて出立しようとしていた。そこに彦太郎を連れずに母上だけが来ていたのだ。ちなみにあの後俺を亡き者にしようとした最上家の数名を首を落として、米沢城の城下に並べておいた。それを知った母上は、俺との関係性を立て直そうと考えているのだろう。本当にいまさらだ。


「今更ですか…」


「何と言いましたか?」


「今更ですか?と言ったんですよ。」


「何が今更だというのです?」


「最上家と結託して、彦太郎に有る事無い事吹き込んだ上、俺を無理矢理に次期当主の座から引き摺り降ろしておいて、今更母親面しないで頂きたい。」


「何を根拠に…。お腹を痛めて産んだ母親である私に対して、なんと言う言い草でしょう…。」


嘘泣きで、俺を責めているこの女に最上との密約を交わす為にと何度も送っていた文を大量に取り出した。そこには、母が最上家から嫁ぐときに持ってきた押印あり、完全な証拠である。


その文を見た途端、彼女の顔から余裕の色が消え、青白くなった。いい気味だ。


「その顔、やはり間違いではなかったようですね。俺は、これを最初に見つけた2年前からあなたを母親と思うことは止めました。」


「これは…これは、違うのです!蒼次郎、これは…」


「口を閉じろ、伊達家の裏切り者め!」


俺は、そう言ってこの女を殴り飛ばした。顎を狙って腕を振りぬいたので、脳震盪を起こして気絶した。刀で斬り伏せなかっただけ有り難く思ってほしい。俺は、倒れているその女を一瞥し、その場を後にした。


葛西家との領境には、大崎家・伊達家・葛西家の山城が乱立している。では、どうやって斯波領内に抜けようとしているのか。

まず俺は、伊賀衆に伝説の穴掘り衆である金山衆をモチーフにした技術者見つけ出させ、伊達の金で雇い、事前に坑道を完成させておいた。彼らは、生活に困窮していたようで、たった1年間の事であるが、俺に忠誠を約束してくれた。正直、友情や愛情よりも、金による忠誠のほうが、長続きしやすいと俺は思う。


この坑道は、整備も完了しており、馬を走らせれば敵に気づかれることなく、5日で抜けられる。酸欠にならないように一定の間隔で地上との抜け穴がある。


この坑道の存在は、伊達家家臣では、小梁川宗秀のみである。そして出入り口には、小屋があり、伊達家領では黒葉佩衆が、斯波家領内には伊賀衆が警備している。なんでも、ここの警備は、下忍から中忍へのステップアップの条件なんだとか…。

「蒼次郎様…、儂が御送りできるのはここまでです。」


宗秀は、坑道の入り口まで俺たちを見送ってくれた。5日分の食料も準備してくれた。


「宗秀…、苦労を掛けるな。次にここへ戻ってくるのはいつになるかは俺にも正直分からんが、なるべく早く軍勢を連れて戻ってくる。それまで、伊達家を何とか守ってくれ。領地が少なくなっても構わん。取り返せばよい。他の家臣が見放そうともそなたは、残っていてくれ。俺は、必ず戻る。頼むぞ、宗秀。」


「仰せのままに。」


俺は、振り返り、俺に向けて片膝をつき忠誠を表している信綱・卜伝・良直・佐助・丹波・勘兵衛・嘉明・清興を見回した後、傍に使える不安そうな面持ちの菜奈の頭を撫でると、俺は、声を上げて明るく言った。

「さあ、行こうか!!」


「「「「「「「「はっ!」」」」」」」


「はい!」


追放イベントを終え、俺の人生の歯車をようやく動き出したのだ。


差月斎から完全に、良直に移行します。ここ以前の投稿は、このままとしておきます。

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