15回 予期せぬ来訪者と勧誘 ③
「何か勘違いをしているようだが、君ら三人とも雇うつもりだ。ここまで残った上に、我が側近たちが連れて参った者らだ。その時点で、雇い入れることは決めていた。大会に参加してもらったのは、腕前を確認しておきたかったのだ。」
「それで…、どうでしたでしょうか?」
「予想を超えた腕であった。ただし、槍だけではなく、刀もしかと使えるようにせよ。折角ここに2人もの剣豪がおるのだからな。」
「「「畏まりました!!」」」
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「蒼次郎。浪人風情を家臣に引き入れたと聞き及んでいるが、まさかそんなことはあるまいな?家臣団の皆の子弟らを選ばなかったのは、そなたの方で何か不備があったのだろう?伊達家の次期当主になるであろうそなたがそのようなことをするわけがない。そうであろう?」
「いえ、私が登用した渡辺勘兵衛、島清興、加藤嘉明の3名は皆、主を持たぬ浪人でございⅯした。」
「そなた、いけしゃあしゃあと、何を申しておるのだ!?そなたはこの伊達家の嫡男。わし亡き後は、そなたがこの伊達家を背負い立たねばならぬのだぞ?にもかかわらず、浪人などを家臣に引き入れるとは何を考えておるのだ!?」
「嫡男だからこそです。」
「何だと?」
「正直に申し上げますと、家臣団の子弟たちは能無しな七光りばかりです。」
「なんてことを申すのだ…。」
「事実を申し上げて何が悪いというのですか?私はいずれこの伊達家で天下を統べて見せます。その時に弱い家臣たちばかりでは、それは夢物語でしかありません。そうさせないためにも、優秀な者を集めることが悪いことなのですか?」
「そ…それは。」
「私は彼らを雇います。家臣団の皆さんを傍に置きたいのでしたら、せめて剣術大会で最後の数人に残れる程度の実力は付けてください。」
俺は、そう言い残すとそそくさとその場を立ち去った。あの男が言っていることは、家臣の顔色を窺っているだけだ。ああいうのがトップにいると集団は簡単に崩壊する。そもそも伊達家自体が、家柄を重視する一族だからな。だから天下狙えなかったと俺は考えている。
これは、おれが嫡男になってこの家をまとめるしかないな。
「この佐助、そのお言葉を聞くことができて大変うれしく思いまする。」
「うぉ!!佐助か…、お前、ここのところどこ行ってたんだ?姿が見えなかったが?」
「申し訳ございませぬ。故郷にて蒼次郎様に見合う者らを探しておりました。」
「それで連れてきたのが、先程からお前の後ろから俺に殺気を放っているその男か?」
「な…!?父上!!」
「父上?お前、家族は居ないのではなかったか?」
「…、小さいころに拾われまして。」
「まぁ、良い。側近のものも含め、将来の重臣候補の者らを今夜、私の屋敷に集めることとなっておる。佐助、連れて参った者は、その者だけではなかろう。郎党のものも集めておけ。その者らもまとめて雇ってやる。」
「晴宗様は、大丈夫でしょうか?」
「父上のことは気にするな。俺が今後示していく技術や情報をご覧になれば、今回の判断が正しかったと気づいて下さる。」
「そうでしょうか。」
「そなたは、そんなことは気にせずに郎党を連れて屋敷へ迎え。」
「かしこまりました。蒼次郎様は、どちらに?」
「今から俺はやることがあるのだ。」
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その夜…、
俺は、側近達と新たに雇い入れた家臣達。およびそれについてきた郎党たちを迎える盛大な宴をもようした。ちゃんと打ち解けるか心配していたが、酒を飲んだら終了してしまった。あちらこちらで、どんちゃん騒ぎが発生している。俺は飲めないので、シラフであるが、まともに話せそうなのは、佐助が連れてきた連中の棟梁と、信綱と卜伝ともう一人だけのようだ。他の連中は、ほぼつぶれている。源三郎に至っては、厠に向かってから帰ってきていない。
「そういえば、そなたの名を聞いていなかったな。」
「百地丹波と申します。」
そういうと、百地丹波は、俺に向かって首を垂れた。
百地丹波、百地三太夫とも呼ばれる伊賀忍者、百地家の当主である。
伊賀忍者は、百地家・服部家・藤林家の三家が三大上忍と呼ばれ、勢力を誇っていた。服部半蔵は、徳川家に仕えた。藤林長門守は、史実としては残っておらず、百地丹波と同一人物とも考えられている。だからこそ、伊賀忍者の片翼を手にしたことは大きな意味を持つのだ。
「お前たち忍には、早速動いてもらうつもりだ。」
「何なりと。我ら一派は、蒼次郎様に忠誠をささげまする。」
「そのことに関しても、君の意見が聞きたいんだよ。小梁川家当主、小梁川宗秀殿。」
俺の言葉に彼は、不敵な笑みを浮かべた。
百地丹波として進めていこうと思います。




