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12回 戦後処理

城に戻ると、着替えも後回しで大広間へと通された。正直言うならば、蒼次郎の10年間の記憶にもここに来た記憶はない。ここでは、最近も頻繁に軍議が開かれている場所であるため、たとえ嫡男であろうとも、気軽に来れる場所ではないのだ。それ以上に、今も感じているのだが、ここの雰囲気嫌いなんだよ、家臣たちも晴宗さん(親父)も目がギラギラしてて、気分が悪くなる。


「若君がご到着されました。」


「通しなさい。」


襖が両側から開かれ、俺の前に大広間が見え…た。おいおい、ギラギラとしたあの目はどうした…。全員が前のめりで俺を見てくる。俺は、おどおどしながらも品格のあるしぐさで礼を尽くし、座した。蒼次郎の記憶が俺をサポートしてくれた。


「皆様方、遅くになり失礼いたしました。」


「そなた等が、葛西の兵を片付けたことは聞いている。ただ、詳細については、聞かされておらん。そなたの口からここにいる皆に説明しなさい。」


「畏まりました。」






「…とまぁ、以上が今回の騒動の詳細になります。」


俺は、父上に箱に入った柏山明国の首を差し出しながら、事細かに説明した。ここいる連中は、皆、伊達家の重臣ばかりである。小梁川宗秀・懸田俊宗・中野宗時・牧野久仲・

桑折景長・石母田光頼・遠藤基信・泉田重光・白石宗実・原田宗時の10名である。戦国時代に興味なければ無理だが、戦国マニアからすれば、夢のような光景である。数名時代錯誤の問題が発生しそうだが、そこはまあ、ゲームの世界だからな。そんな彼らが驚きから閉口している。父上の隣に座っている母上は、満面の笑みで喜んでくれた。


「…原田。」


「大殿、どういたしましたか?」


「庭で蒼次郎と模擬戦をせよ。」


は?この人今なんて言った?原田宗時と模擬戦をしろっていった?伊達政宗の重臣として戦場で戦功を立てていった猛将だぞ。さっき倒した能無しとは全く違う。軍略も剣術も凡人とは程遠い逸材だ。勝てるわけがない、皆、忘れてやいないか?俺はまだ、10歳だぞ…。元服すら迎えていないのに。


「晴宗様…、それは少しお戯れが過ぎまする。蒼次郎様が、10歳としては腕が経つと申しましても、原田殿には到底かないますまい。」


「そんなことはわかっておる。なにも原田を倒してみろ、とは言っておらん。蒼次郎が腕がたつなら、兵の教練に参加させてみようかと考えていただけだ。」

…結局、伊達家当主の命令が取り下げられるわけもなく、俺は、模擬戦に参加させられる羽目になった。それも、木刀で…。ハンデとして、原田さんは、俺に直接当ててならないことになった。因みに庭とさっき言ったが、せっかくならと広場に移動した。さっきの面々だけじゃなく、俺の側近達や兵たちも見に来ているようだ。広さは、100m四方ぐらい?正確な広さは俺も分かんない。でも、これは俺には好都合。俺の剣技は、速度がモノを言う。そのためには、広さがいる。


「それでは、原田殿。胸をお借りいたします。」


「いつでも構いませんぞ、蒼次郎様!」


俺は、一呼吸して心を落ち着けると、一気に距離を詰め、彼の喉元へ木刀を斬り上げた【逆風】。…が、流石に経験豊富な武将だ。寸でのところで避けると。逆に袈裟切りで対応してきた。それからも、俺は、速さを活かした連撃による連撃で攻めた。それに対し原田は、

時より鋭い一閃を含めた守りに徹した様子である。10分ほど経った頃、俺はさすがに体力や筋力の限界がきていた。一日に2連戦は、まだきつ過ぎるようだった。


しかし、父上は、負けが決まるまで続けるように言うので、決死の一撃にかけてみることにした。俺は、最後の力を振り絞って彼に近づくと左足を軸に彼の軸足を蹴り飛ばした。勿論足の裏で、脛とかでやったら痛すぎるからね。そこで隙を見せた彼に飛び乗り、地面へと叩きつけ、切っ先を喉元へ突き立てた。


「ハア…ハア…、原田殿、私の勝ちです。」


「あ…ああ。」


俺は、彼から離れると中段に構え、礼を尽くしたのち、木刀を片付け始めた。周りの群衆は、一瞬の出来事に理解が追い付いていないようで、固まっている。当人の原田宗時も負けを認めた者の、現実を受け入れるのに苦労しているようであった。


「それでは、皆様、私は少し疲れましたので自室で休ませていただきます。それでは…」


「「「…待てー!!」」」


そこからは、質問の嵐。どうして原田に勝てたのか。あれは、最初から考えていたのか。

どうやって、あんな絡め技を覚えてのか。強面の連中に囲まれた雛鳥のような形になってしまい、あれこれ聞かれた挙句、彼らの子弟を傍において一緒に鍛えることとなってしまった。将来は、戦場でも傍において欲しい、とまあ、売込みってわけだ。


結局解放されたのは、それから1時間後くらい?俺は、功績を認められ、駿馬と伊達家の家紋が入った脇差を頂戴した。それと同時に、新たに開く道場の師範代に押し込められた。道場は、2門制で、信綱と卜伝がそれぞれの師範を務めるので、俺はお飾りで体裁を保つだけの存在である。


俺が、自分の屋敷に戻ったのは、夜も更けたころ。飯も風呂も城で済ませた。というより、あの場の雰囲気が強制させたといってもいい。


「面倒なことにならないといいけど…。」


まぁ、こういうフラグ発言は性格の悪いあの神によって実現されることになるのだが、そんなことを露にも知らない俺は、疲労からすぐ眠りに落ちた。


少し年齢にそぐわない箇所があるかと思いますが、主人公は将来の猛将設定であることと、主人公補正がかかっていることに御配慮いただけると幸いであります。それと、原田宗時が負けたのは、実力の差ではなくただ単に子供だからと油断していただけです。勿論、本気でやっていたら速攻で負けていたことでしょう。

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