弐話:アースマン
2アースマン
「システムを起動します」
コンピューターの中に入っている音声が部屋に流れる。その部屋には二人の男が立っていた。一人は近衛 佑。もう一人はサタン。人間ではない。
コンピューターの画面だけが青白く光を発していた。ちかちかと何度も点滅し、威嚇するかのようだった。
そんな中、佑とサタンは画面を目の前に、立ちつくしていた。すべてはコンピューターが解決してくれるらしい。だんだんと暗闇の部屋が揺れてくる。アースマンの侵略が進行しているのだ。
「だいじょぶなのか?揺れてるぞ?」
佑がサタンに聞く。しかしサタンは無言のままだった。
「おい!」
「大丈夫だ!黙ってろ」
サタンに怒鳴りつけられ、首を引っ込んだ佑は、亀のようだった。そんな佑を無視し、サタンはなにやら呟いている。呪文のようだ。
「破壊の申し子よ。我に力を与えてくれたまえ。破壊の申し子よ……」
低く唸るような呪文は佑に届いていなかった。
「サタン。俺になんか武器を持たせてくれ」
「うるさい。黙れと言っているのが聞こえないのか?」
「サタン、この部屋がばれてしまったようだ。囲まれている」
その部屋は50階の高級ホテルだった。窓から顔を出す佑が呟く。アースマンは人類のものではない覇気を感じ取り、駆けつけてきたのだ。
「くそったれ。もう動き始めたか……よし」
サタンは呪文を唱えるのをやめ、一瞬消えたかとおもうとすぐに具現化した。手には棒状のものを持っている。
「お前は槍の使い方を知っているか?」
「ああ、小学校の時、槍術をおじいちゃんに習った」
「ならこれをつかえ。とびっきりの特上品だ。ただ相手に突き刺すだけで良いんだ」
サタンは槍らしきものを渡してきた。刃の部分になにやら蛇の彫刻が彫られていた。
佑は遠慮無く受け取り、右手に持った。
「いずれはここにやってくる。儀式が終わるまで援護していてくれ。アースマンは魂を抜き取ってくる。迅速に突き刺すんだ」
儀式だったのかと呟き、槍を持ち直した。
数分後、ホテルのドアが荒々しく叩かれた。しかしすぐにその音はやんだ。佑は不審に思い、見に行こうとするとサタンが制した。
「相手は言語を理解できてる。きっと従業員になりすまして待ち伏せをしているだろう。それを逆に利用するんだ」
「つまり相手が入ってきた時に刺すって事か……」
サタンはうなずき、さらに呪文を唱え始めた。佑はため息をつき、ドアの方へと歩み寄った。元々佑は退屈していたのでよかったのだがこんなに神経をつかうものだとは知らなかったのだ。
さらに息を潜め、ドアに耳をつける。かすかに 人のようなしゃべり声が聞こえる。しかし話している内容までは聞き取れない。
「小僧、できたぞ」
突然サタンの声が聞こえ、びっくりした。後ろを向くとサタンが紙らしきものを掲げている。
「なんだ、それ?」
「相手の艦隊にいける方法が書いてある。」
誇らしく掲げている紙を受け取り、内容を見た。
「何だよこれ。無理じゃねえか」
書かれていたのは”死ぬ”ことだった。




