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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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3-01

side 佐久間象山@京都


 江戸には良い思い出がない。悉くあのクソガキに邪魔をされた。もう近寄らん。その点、京都は良い。幕府からの要請で来たというだけで、チヤホヤされる。その一点だけは。


 何が京の都だ!ただの活気のない古臭いだけの町じゃないか。ダラダラダラダラ結論のない話ばかりして、結局は「賄賂を寄越せ。取り次いでやれるかもしれん」だと?1人や2人の話じゃない。金の無心しときながら、誰も確約も出来ん。そのくせ公家は明らかな贅沢をしておきながら、御所は慎ましい。いや、明らかに金がない。良い身分だな、公家ってのは。


 わざわざ来てやってんのに、出てくるのは「お上に相談するでもなく、幕府は勝手に開国などするとは」だと?挙げ句の果てには、知性を感じない、未だ刀で黒船を打ち払えるとかぬかしてる田舎侍たちまで同調する始末。だったら相談するだけでお前らは黒船を追い払えるとでも言うのか。黒船の大砲を刀でどうにか出来るとでも考えてんのか。馬鹿が。どうせ目の前に来たら「来るな、来るな、来るなーー」って叫ぶしか出来んくせに。


 そうか。俺が京都に派遣されたのは、表向きは開国と公武合体の必要性を説くのためだが、本当の目的は俺の弁論で公家を論破し、田舎侍に本物の知性を教えてやることなのかもしれん。それならそうとそういえば良いのに。どうしたってあのクソガキでは、ワシのような貫禄は出せん。アイツじゃ到底出来んことを成してやる。アイツの口から「流石佐久間様」と言わせてやる。首を洗って待ってろ。京都にワシの名を轟かせてやる。


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 2度目の入学試験もつつがなく終わった。杉先生からは試験の相談も合否判定の相談もない。ただ、今いる生徒同士の相性が悪すぎて横浜に送って良いのかどうか見当がつかん、という現状報告があった。面白い。天才の化学反応が悪い方に起きてるわけね。見てみたい。天才たちがぶつかる結果、進化するとこしか見てないから、それが起きない天才の衝突、興味湧かないはずがない。


 1人は高杉晋作。ずっと気にはなってた名前。もう1人が西周。苗字の「さいしゅう」さんかと思ったらフルネームだった。「にしあまね」さん。うん、知らない。現状、横浜は急ぎでやらなきゃいけないこともない。ちょっと江戸の学校覗いてこよう。何なら府中と日野に顔を出して来ようかな。弥太郎兄の婚約から俺の中では止まってる。マジで知らん間に甥姪がいるかもしれない。お土産何にしようかな。


 そんな呑気なこと考えてた自分を責めたい。絶望的に相性悪い。かと言って切り離そうにも、お互いに「何故アイツだけ」となる。思考も嗜好も合わない。そのくせ弁は立つ。2人とも優秀。杉先生の責任感の強さが仇となってる。もっと早く言ってくれたら良いのに。何となくタイプ的に高杉さんは佐久間氏、西さんは友さんな感じ。


 本人たちだけならともかく、他の人たちへの影響が大きすぎる。混ぜるな危険状態。こういう時の調整役は箕作様が適任なんだろうけど、こっちの責任者は杉先生。きっと師匠の箕作様をイメージして、間を取り持とうとしたのか聞いてみたらビンゴ。


 そもそも仲良しこよしが全てではない。目的意識が共通ならば、いがみ合ってても組織としては問題ない。仲が良いにこしたことはないが、それを目的にしてはいけない。一番手っ取り早いのは、俺が悪者になって同じ目的意識を持たせる事なんだけど、面と向かっての喧嘩って、若い時にしか出来ないんだからやりたいだけやれば良いじゃん、人に迷惑をかけない範囲でなら。なんて思わなくもない。


 とはいえ、こんなことで悩む時間ももったいないから、論破か圧倒か。


 「高杉様、あなたはご自身で琉球まで行くことは面白そうだと思われますか?西様、あなたは琉球まで行く航路を計算できますか?人を用意しますので、あなた方それぞれが指揮し、琉球まで辿り着いて下さい」


 手っ取り早くこれにしよう。同じ性能の船を3隻用意して、オランダにでも人を貸してもらおう。あとの人は、友さんのもとで操船してもらう。船の実習だ。オランダに何かお土産を持っていくとしよう。


 他の人がやったことあることすらできず、面白いもへったくれもない。机上の空論だけで現実を知らないなんて、ちゃんちゃらおかしい。本当の面白さは、他の人がやれていないことにこそあるのが、この調所。机上の空論だけでは絶対に進んでいかないのも、この調所。この数年の、実践に裏打ちされた技術革新を甘く見て貰っては困る。そんな人が調所の天才たちに並び立てるはずもない。


 ま、俺はまた留守番するけど。船酔い嫌だし。杉先生は俺のスパルタに気付いてるみたいだけど構うもんか。悠長に人を育てる余裕がないのも、これまた事実。


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― 新着の感想 ―
論破で公家のメンツをつぶしてまわり、 説教で浪士にウザ絡み、 これは絶対に刺されるやつ。 次回『佐久間象山死す』デュエルスタンバイ!
あぁ~高杉晋作の腰巾着伊藤博文がしれっと居そう、井上薫とかも
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