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万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第五章

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第497話 ちょっと何を言ってるのか分かりません

 檻の中にいたはずの金髪女性がいつの間にか脱出し、剣を手にして立っていた。

 よく見ると檻の一部が切り取られている。


「危ないところでした。間に合ってよかったです」


 優雅な動作で剣を腰の鞘に戻しつつ、凛とした声を響かせるその姿は、思わず見惚れてしまうほど凛々しいものだった。

 同じ剣士でもアカネさんとはモノが違うと、素人目にもはっきりと分かるほど。


「ていうか、斬ったのアカネさんじゃないの?」

「い、言われてみれば、拙者の剣は硬い身体に跳ね返されたような気がするでござる……」


 よく見ると、ガーゴイルの身体には別の傷がついていた。

 胴を横に薙ぐような傷で、恐らくこれがアカネさんの剣によるものだろう。


「手応えありって言ってなかった?」

「それはなんというか、その場のノリというか、雰囲気というか……」


 ダメだこのサムライ。


「えっと、助けていただいてありがとうございます」

「いえ、当然のことをしたまでです」


 僕がお礼を言うと、金髪美女は謙虚にそんなことを言う。

 今のところミランダさんが言ってたイメージとは全然違うね。


「ところで、私の名前を教えていただけますか?」

「え? もしかして、記憶喪失ですか?」


 長きにわたって封印されていたのだ。

 記憶に何らかの障害が出ていてもおかしくはないだろう。


「いえ、たまに忘れてしまうのです」


 ……うん、ちょっと変な人ではあるかもしれない。


「すいません、僕たちには分からないです」

「……そうですよね」


 ちょっと途方に暮れたような顔になる金髪美女。

 だけど不意に真剣な顔になって、


「あっ……待ってください。もう少しで思い出せそうな気がします……ひ、ひ、ひ……ヒマワリ? いえ、ひ、ひ、ひ……ヒトデ? ひ、ひ、ひ……ヒダリウデ? ……はっ! 思い出しました。私はヒルダ。ヒルダです」

「そ、そうですか、思い出せてよかったですね、ヒルダさん。ちなみに僕はルークと言います」

「ルイスさんですね。よろしくお願いします」

「ルークです」


 すぐに訂正しつつ、僕は訊いた。


「それで、ヒルダさんはなぜこんなところに?」

「魔族の王である魔王を倒すためです」


 てっきり目的も忘れているのだと思いきや、そこはしっかり覚えていたらしい。


「私には勇者として魔王を討伐する使命があります。かつて私が生まれた時代の魔王は、仲間たちと力を合わせて討伐しましたが、遠き未来に必ず復活するとの予言があったのです。遠き未来……恐らくそれが今です」


 きっと正義感の強い人なのだろう、拳を握り締め、眦を鋭くしながら強い意志を示すヒルダさん。

 ていうか、勇者なんだ……。


 僕は彼女に教えてあげた。


「それが、すでに魔王は討伐済みなんです」

「すいません、もう一度おっしゃってください」

「すでに魔王は討伐してしまいました。ほら、見てください、ここに魔族もいますよね? すでに彼らと友好的な関係を築いている証拠です」

「そこをなんとか、魔王を用意していただくことはできませんか?」

「無理です」


 魔王を用意って、そんな真似ができるのは邪神くらいだろう。


「では一体、私は何を倒せばいいのでしょうか……?」


 そんなこと聞かれても……。


「魔王を討伐するのが使命なのは分かりますけど、その目的は魔王がいなくなって世界が平和になることですよね? だとしたら勇者としては喜ぶべきことでは?」

「ちょっと何を言ってるのか分かりません」

「何で分からないの!?」


 ちょっとどころじゃなかった。

 割とかなり変な人だ。


 そして常識しらずというより、天然と言った方がいいかもしれない。

 やり取りを聞いていたセレンも呆れた様子で、


「なんだか話の通じない勇者ね」

「そうねぇん。悪い子じゃなさそうだけど……それに」

「それに?」

「ふふ、何でもないわぁん♡」


 僕はヒルダさんに言う。


「とりあえず、お仲間さんたちに会ってみますか? 三人ともすでに復活して、僕の村にいますので」


 確かにこの天然さんを放置しておくのは危なそうなので、いったんミランダさんたちのところに連れていくことにした。

 また飲んだくれが増えるリスクを考えると、本当は合流させたくないけど仕方がない。


「それは助かります。いなくなった魔王を一体どうやって討伐すればいいのか、彼女たちと話し合ってみたいと思います」

「それはたぶん結論が永遠に出ないと思いますけど」





 そうして浮遊島にある要塞から村に戻ってきた。


「ミランダさん、最後のお仲間さんを連れてきました」

「ぎゃははははっ! なんだよ! やっぱ連れてんじゃねぇか! まぁオレの予想した通りだな! ぎゃははははっ!」


 僕の顔を見るなり酒臭い息で大笑いだ。

 殴っていいかなぁ?


「昼間からお酒とは……相変わらずですね、マランダ」

「ミランダな? テメェも相変わらずみてぇだな、ヒルダ」


 名前を間違えられたことにほんのり怒りつつ、呆れるミランダさん。


「うふふふ、ヒルダも彼らに見つけていただいたんですの? わたくしたちと同じですわねぇ」

「我ら全員の封印と解くとは、やはりこの村の者たちは見所がある」


 エミリナさんとライカさんもお酒臭い。

 そんな仲間たちを見回しながら、ヒルダさんは真剣な顔で言った。


「そんなことより、です。そろいもそろって昼間から暢気にお酒を飲み交わしているとは――」


 明らかに怒気を孕んだ声。

 もしかして、僕の代わりに三人のことを叱責してくれようとしてる?


 だとしたらなんて良い人なんだろう!


「――私たちには魔王を倒すという使命があることを忘れたのですか?」


 んんん?


「は? いやいや、魔王は討伐済みだって、テメェも聞いたはずだろ?」

「信じないことにしましたので」


 前言撤回。

 ……ヒルダさん、四人の中で確実に一番変な人だ。


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きねづか
5月8日発売!!!
― 新着の感想 ―
まとめてお婆ちゃんに拷もn解らせてもらうしかなさそう…
邪神討伐の旅にでも出させたら?
この四人魔王討伐の為じゃなくて、厄介払いの為に封印されたんじゃないか?疫病神として討伐して村の奴隷として強制労働させましょう。
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