監査
『廻天』
第二十七話 監視
深夜。
山中。
十三。
一人。
歩く。
川。
遠ざかる。
カイたちの。
残響。
まだ。
薄く。
残っている。
追える。
いつでも。
⸻
端末。
振動。
十三。
止まる。
画面。
番号。
非表示。
出る。
『報告。』
十三。
「接触した。」
『結果。』
「十二が負けた理由。」
「分かった。」
間。
『対象の戦闘能力は。』
十三。
少し。
考える。
「単体。」
「高くない。」
『……。』
「でも。」
「三人。」
「揃うと面倒。」
『排除可能か。』
十三。
「可能。」
少し。
間。
「たぶん。」
⸻
通信。
向こう。
沈黙。
『十二は。』
「追跡継続。」
『回収は。』
十三。
「命令があれば。」
また。
間。
『不要。』
十三。
目。
細める。
「不要?」
『現段階では。』
「理由。」
『優先度変更。』
⸻
十三。
立ち止まる。
『対象カイ。』
『現在。』
『組織への積極的敵対行動なし。』
『拠点攻撃。』
『追跡。』
『情報収集。』
『いずれも確認されていない。』
十三。
「逃げてるだけ。」
『その認識でいい。』
⸻
十三。
少し。
笑う。
「平和だな。」
『平和ではない。』
通信。
向こう。
少し。
ノイズ。
『こちらが。』
『忙しい。』
十三。
「……。」
⸻
別。
場所。
巨大。
地下施設。
複数。
モニター。
研究棟。
警報。
人。
走る。
搬送。
封鎖。
破損。
別の。
実験区画。
何か。
起きている。
詳細。
見えない。
ただ。
敵本部。
明らかに。
カイどころでは。
ない。
⸻
通信。
『十三。』
「はい。」
『追跡は継続。』
『ただし。』
『接触するな。』
十三。
「完全に?」
『必要がない限り。』
『観測。』
『記録。』
『行動傾向の確認。』
『それだけでいい。』
十三。
「回収もしない。」
『今は。』
「十二も。」
『同様。』
十三。
少し。
驚く。
「十二まで?」
『逃亡個体への人的資源配分を停止。』
『別件を優先する。』
十三。
「……。」
⸻
つまり。
放置。
ではない。
監視。
継続。
ただ。
優先順位。
低下。
⸻
『一点。』
「何。」
『カイが。』
『こちらを探し始めた場合。』
十三。
顔。
上げる。
『即時報告。』
「攻撃は?」
『指示を待て。』
十三。
「分かった。」
通信。
切れる。
⸻
十三。
暗い。
山道。
一人。
立つ。
「……。」
カイ。
敵を。
追わない。
復讐も。
しない。
世界を。
変えようとも。
していない。
キャンピングカー。
毛糸。
エステ。
仲間。
それだけ。
十三。
首。
傾ける。
「本当に。」
「放っといていいのか。」
返事。
ない。
⸻
翌朝。
キャンピングカー。
カイ。
寝ている。
レン。
外。
コーヒー。
澪。
端末。
確認。
通知。
本部。
新規。
依頼。
一件。
澪。
見る。
「レン。」
「何。」
「仕事です。」
レン。
ため息。
「どこ。」
「ここから。」
「約四十六キロ。」
レン。
「近いな。」
⸻
カイ。
布団。
中。
「温泉?」
澪。
「異能事案です。」
「温泉ない?」
「近隣に。」
「あると思います。」
カイ。
起きる。
「行こう。」
レン。
「目的変わってんだろ。」
⸻
その頃。
遠く。
十三。
木。
上。
双眼鏡。
ではなく。
地面。
触れる。
《残響》。
追跡。
継続。
端末。
一行。
送信。
『対象、移動開始。』
返答。
一言。
『監視継続。』
十三。
「了解。」
そして。
距離。
取ったまま。
後を。
追う。
戦わない。
捕まえない。
ただ。
見る。
⸻
敵。
なのに。
襲ってこない。
味方。
でもない。
その。
微妙な。
距離。
十三は。
しばらく。
保つことになる。
そして。
敵本部が。
カイたちより。
優先している。
「別件」。
それが。
何なのか。
まだ。
誰も。
知らない。
――第二十七話・了




