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熱愛

『廻天』


第二十八話 狐火


山道。


朝。


キャンピングカー。


走る。


運転。


レン。


助手席。


澪。


後ろ。


カイ。


毛糸。


編んでいる。


レン。


バックミラー。


見る。


「……。」


カイ。


「何。」


「お前。」


「運転中に編むな。」


「俺運転してない。」


「そういう問題じゃねぇ。」


シュウ。


『揺れがちょうどいい。』


カイ。


「シュウが。」


「知るか!!」


⸻


澪。


端末。


読む。


「事案概要。」


レン。


「頼む。」


「山間部。」


「小動物の異常行動。」


「最初は。」


「野生動物による被害として。」


「処理されていました。」


カイ。


「鹿?」


「いいえ。」


「猪?」


「違います。」


澪。


一拍。


「狐です。」


カイ。


「かわいい。」


レン。


「凶暴化してんだよ。」


⸻


現場。


山。


小さな。


集落。


焦げた。


柵。


焼けた。


木。


地面。


黒。


レン。


車。


降りる。


「……。」


カイ。


降りる。


「結構燃えてる。」


澪。


銀眼。


開く。


「火災ではありません。」


レン。


「分かる?」


「燃え方が。」


「散発的です。」


「中心がない。」


カイ。


「狐が。」


「火出してる?」


澪。


「可能性が高いです。」


レン。


「狐が火。」


カイ。


「狐火。」


レン。


「そのままじゃねぇか。」


⸻


森。


入る。


焦げ跡。


点々。


澪。


「足跡。」


レン。


見る。


小さい。


四足。


「マジで狐か。」


カイ。


「かわいい?」


レン。


「まだ言うか。」


⸻


ガサ。


草。


揺れる。


三人。


止まる。


茂み。


奥。


目。


二つ。


赤。


出る。


狐。


一匹。


普通。


より。


少し。


大きい。


毛。


逆立つ。


口。


開く。


低く。


唸る。


レン。


「……。」


カイ。


「かわ――」


狐。


口。


前。


火。


集まる。


ボッ!!


火球。


飛ぶ。


三人。


散る。


後ろ。


木。


ドォン!!


燃える。


カイ。


「かわいくない。」


レン。


「判断遅ぇよ!!」


⸻


狐。


跳ぶ。


尾。


振る。


小さな。


火。


五つ。


浮く。


レン。


「増えた。」


澪。


「散開します。」


火球。


一斉。


飛来。


レン。


刀。


抜く。


一つ。


斬る。


爆発。


「熱っ!」


カイ。


「切ると爆発するね。」


「早く言え!」


「今分かった。」


⸻


澪。


《銀界》。


見る。


狐。


体内。


異能経路。


小さい。


だが。


周囲。


妙。


空気。


揺れる。


温度。


変化。


「……。」


レン。


「何見えた。」


澪。


「熱。」


「何。」


「狐自身が。」


「全部作っているわけではない。」


カイ。


《観流》。


見る。


分かる。


狐。


周囲。


空気。


地面。


木。


太陽。


石。


そこに。


ある。


熱。


少しずつ。


一本。


一本。


狐へ。


集まっている。


カイ。


「集めてる。」


レン。


「何を。」


「熱。」


⸻


狐。


足元。


地面。


わずかに。


白く。


冷える。


レン。


気づく。


「……。」


狐。


口。


開く。


巨大。


火球。


形成。


澪。


「来ます。」


レン。


踏む。


《穿牙》。


一点。


集中。


刀。


合わせる。


激突。


ドォン!!


レン。


後ろ。


飛ぶ。


地面。


転がる。


「クソ。」


カイ。


「大丈夫?」


「熱ぃ。」


「火だから。」


「知ってる!!」


⸻


狐。


さらに。


火。


集める。


レン。


見る。


周囲。


熱。


寄る。


「……。」


穿牙。


今まで。


自分。


だった。


筋力。


呼吸。


異能。


踏み込み。


全部。


一点。


集める。


それだけ。


そう。


思ってた。


でも。


狐。


やっている。


自分。


以外。


周囲。


あるもの。


集める。


レン。


「……。」


カイ。


「何。」


「ちょっと。」


レン。


手。


地面。


置く。


暖かい。


日光。


受けた。


岩。


熱。


持っている。


空気。


ぬるい。


木。


地面。


全部。


少しずつ。


熱。


ある。


レン。


目。


閉じる。


《穿牙》。


集める。


筋力。


ではない。


異能。


ではない。


熱。


周囲。


ある。


温度。


一点。


⸻


カイ。


《観流》。


目。


見開く。


「……。」


澪。


銀界。


見る。


「レン。」


レン。


右手。


周囲。


空気。


少し。


冷える。


拳。


前。


揺らめく。


熱。


集まる。


ただし。


小さい。


ほんの。


少し。


レン。


目。


開く。


「できる。」


⸻


狐。


火球。


放つ。


レン。


拳。


前。


《穿牙・熱集》。


ドッ!!


集めた。


熱。


一点。


ぶつける。


火球。


中心。


乱れる。


爆発。


途中。


散る。


レン。


「……。」


自分。


驚く。


カイ。


「新しい。」


レン。


笑う。


「たぶんな。」


⸻


ただし。


手。


赤い。


レン。


「熱っ。」


カイ。


「やっぱ熱いんじゃん。」


「うるせぇ。」


⸻


澪。


冷静。


「問題があります。」


レン。


「何。」


「集めた熱が。」


「レンの身体も。」


「通っています。」


レン。


「……。」


カイ。


「火傷するね。」


レン。


「……。」


カイ。


「結構。」


レン。


「分かったから言うな!!」


⸻


狐。


怒る。


咆哮。


尾。


炎。


まとる。


周囲。


一気。


熱。


吸う。


草。


冷える。


岩。


冷える。


空気。


冷たい。


巨大。


炎。


狐。


全身。


包む。


澪。


「次。」


「かなり大きいです。」


レン。


「じゃ。」


「こっちも。」


カイ。


「無理。」


レン。


「何が。」


「身体。」


「壊れる。」


「まだやってねぇだろ。」


「見える。」


レン。


黙る。


⸻


カイ。


レン。


肩。


触れる。


《観流》。


《流転》。


熱。


集める。


流れ。


レンの。


腕。


集中。


しすぎ。


カイ。


少し。


逃がす。


身体。


全体。


分散。


「これなら。」


レン。


「いける?」


「少し。」


「少しか。」


「少し。」


レン。


笑う。


「十分。」


⸻


澪。


銀界。


最大。


狐の。


熱。


流れ。


見る。


「右前方。」


「地面。」


「熱量。」


「高い。」


「左。」


「低い。」


「三秒後。」


「狐は。」


「右へ集めます。」


レン。


「了解。」


⸻


狐。


炎。


放つ。


巨大。


火の。


奔流。


レン。


踏む。


周囲。


熱。


集める。


ただ。


集めすぎない。


カイ。


後ろ。


流れ。


整える。


澪。


方向。


読む。


レン。


一点。


作る。


《穿牙――熱集》。


拳。


前。


ぶつける。


⸻


炎。


中心。


一本。


穴。


開く。


レン。


そのまま。


突っ込む。


狐。


驚く。


レン。


刀。


峰。


使う。


ドン!!


首。


横。


叩く。


狐。


吹き飛ぶ。


地面。


転がる。


炎。


消える。


⸻


静寂。


レン。


息。


荒い。


右手。


真っ赤。


カイ。


見る。


「火傷。」


レン。


「分かってる。」


「結構。」


「言うな。」


澪。


狐。


見る。


「生存。」


「異能反応。」


「低下。」


カイ。


しゃがむ。


狐。


触れる。


《感流》。


「……。」


乱れてる。


異能。


身体。


合ってない。


無理やり。


流れ。


増幅。


されている。


レン。


「自然発生?」


カイ。


首。


振る。


「分からない。」


澪。


「本部へ。」


「検体保護を要請します。」


⸻


しばらく。


レン。


岩。


座る。


右手。


冷やす。


カイ。


隣。


「新しい技。」


レン。


「技ってほどじゃねぇ。」


「自然の熱。」


「集められた。」


「うん。」


レン。


手。


見る。


「《穿牙》。」


「俺の中にあるものを。」


「一点に集める技だと。」


「思ってた。」


カイ。


「違ったね。」


「……。」


レン。


周囲。


見る。


太陽。


岩。


木。


空気。


「集められるものなら。」


「外でもいい。」


⸻


シュウ。


内側。


『面白い。』


カイ。


(何が。)


『あいつ。』


『技の意味を。』


『自分で狭くしてた。』


カイ。


岳。


前。


言っていた。


言葉。


思い出す。


『技だと思うな。』


『好きに使え。』


カイ。


少し。


笑う。


⸻


レン。


「何笑ってんだ。」


「いや。」


「レンも。」


「増えたね。」


「何が。」


「できること。」


レン。


立つ。


「一個だけな。」


カイ。


「それでいいじゃん。」


レン。


一瞬。


止まる。


そして。


「……。」


笑う。


「だな。」


⸻


遠く。


森。


木。


陰。


十三。


しゃがむ。


地面。


触れる。


戦い。


残響。


拾う。


狐。


火。


レン。


熱。


カイ。


流転。


澪。


銀界。


十三。


「……。」


端末。


送信。


『対象一行。異能事案に介入。』


少し。


考える。


追加。


『レン。能力用途拡張を確認。』


返答。


短い。


『監視継続。』


十三。


「了解。」


⸻


カイ。


キャンピングカー。


戻る。


レン。


手。


包帯。


澪。


端末。


報告。


狐。


本部。


搬送。


カイ。


助手席。


「温泉。」


レン。


「まだ言うか。」


澪。


端末。


見る。


「八キロ先。」


「日帰り入浴施設。」


「あります。」


カイ。


「行こう。」


レン。


「俺。」


「手。」


「火傷してんだけど。」


カイ。


「じゃあ入れないね。」


レン。


「急に冷てぇな!!」


――第二十八話・了

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