第46章
そんなのに釣られる呆けが二百四十人もいるとは。俺は頭を掻いた。和木坂は何が起きたのか分からず真っ青な顔をしている。
「軽音の和木坂真宇さん、滝本竜君、いらっしゃるう?」
不意に入口の方から気持ち悪い声が響いた。
振り返ると声の主、成金丸出しのばばあが一人と、白スーツで金髪のおっさん、その左右に黒服の大男が二人。
「おまえ誰だ」
「あっらあ?あたくし、この高校の理事長様でいらっしゃるのよん?そんな口の聞き方ではいけませんことよ」
「うわ、滝本君、あの白いスーツ、佐久本耕作だよ。あの大物プロデューサーの」
「な、なんでうちになんか」
やたら目立つ四人がぞろぞろと入ってきて、俺たちの前に立った。
「……で、おまえら何の用だ」
「君が滝本竜君だね?僕のことは知ってるよね。君、今インターネット上でどうなってるか知ってる?」
「知らん。何のことだ」
「君たちのライブの映像が、動画サイトにアップロードされてるんだよね。それでさ、もう三十万回も再生されてる。和木坂真宇ちゃん、君は奇跡の歌声だってみんな言ってるんだよ」
「あ、あ、え?」
「だからね、他が目をつける前に、いち早くわざわざ僕が出向いたってことなんだよね。君たち、うちと契約したいよね?」
「何の契約だ」
「もっちろん、アーティストとしての契約だよ。それなりのバックアップは保証するから、うちに来るよね?ほら、善は急げって言うしさ。契約書も持って来たよ」




