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第43章

 薄暗い境内。いつ来ても、ここだけは世界から隔離された場所みたいに思える。禿げが作ってくれていた、二人だけの空間。


「和木坂、その、何だ、小人とやらはどうした?」

「……歌が終わった時、さよならって。そのまま見えなくなっちゃったの」

「そうか」

「勅使河原くん、ありがと。まうたんを晴れ舞台に立たせてくれて」

「おまえ、前にも訊いたが、なんで俺の昔の名前を知ってる?」

「あのね、じゃあまうたんに代わるねっ。ほんとに、ありがと」

「……私、小さい頃から貧乏で、いつも汚い格好しかできなくて、いじめられてたの」

「もう俺がさせない」

「えへへ、ありがとう。それで私ね、小さい頃、近くであったピアノコンクール観に行ったんだ。入場無料だったから、お母さんが連れて行ってくれて。その時、私と同じくらいの歳の子がこんな上手に演奏できるなんて信じられない、なんて思ったの」


「……ひょっとして、文化ホールか?そこの」

「うん。それで最後に演奏した子が、すごく上手で、なのに、なんでか悲しげで……あ、あの、何て言ったらいいかな?えと、ピアニストって、私なんか手の届かないような上流の人なのに、その……私に似てるような気がして。な、なんかおこがましいんだけど」

「最後に演奏したのは……」


「うん。……それが勅使河原くん。滝本くんだったんだ」

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