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第40章

「平気なのか?」

「だって、歌えなくても、滝本くんは味方でいてくれるんだよね?」

「当たり前だ」

「……小人さんたち、今日限りでお別れだって。決まりを破っちゃったから、もう会えなくなるって」

「そうか」

「だから最後に、一緒に歌いたいの」

「分かった。しかしな」

「え?」

「……着替えはあるか」

「あっ」


 和木坂は濡れたスカートを見て顔を紅潮させ、「ど、どうしよう」と力ない声を出した。


 俺はハンガーに掛けてあった竹田叶の制服を無断で着せた。上履きも靴下も脱がせた。


「ピアノは任せとけ」


 和木坂のこの曲だけは、俺が弾きたかった。和木坂は「ありがとう」と笑顔で言った。


 落ち着いてる。これなら大丈夫だ。


「行こう」俺たちは二人で舞台に上がる。


 和木坂は中央の椅子に座った。俺はピアノの前に座る。和木坂が弾き語りで、俺が伴奏。


 和木坂の表情は夢でも見てるように安らかで、俺は今からの数分が奇跡の時間になることを確信した。


「……最後に歌います。和木坂真宇、曲は、渡良瀬橋です。よろしくお願いします」


 和木坂が頭を下げると、暖かい拍手が返ってきた。

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