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第38章
俺は再び和木坂のそばに寄った。
「和木坂、聴いてたか?」
和木坂は涙を流していた。挙動が明らかにおかしく、髪が乱れていた。視線が定まってない。
「どうしよう、竹田さん、すごく上手だった……どうしよう。どうしよう」
「いい。おまえはもう歌わなくていい」
「でも、それじゃ竹田さんは滝本くんと」
「俺が勝てば問題ない」
「あ、あの」
「言わせてくれ。俺の答えを。おまえが歌えなくなっても、俺はおまえを守る。俺はおまえを肯定する。だから、もう俺から離れるな」
「……ほんとに?私、だめでもいいの?」
「そうだ。ずっと答えてやれなくて、悪かった」
「私みたいな屑でも?」
「屑だなんて俺は思わない」
「あ、あ、ありがと」
「じゃあ次の曲、ここで聴いててくれ。おまえの為にこの歌を選んだんだからな」
俺は和木坂に背を向け、緊張が切れたのか舞台袖で座り込み泣いている竹田叶に一声かけてから、舞台に出て行った。歓声を受けながら。




