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第33章

「お願い。ほんとはぼくがまうたんを助けてあげたいんだけど、ぼくじゃめなんだ」

「……もういいよ真宇ちゃん。もう無理だよ。どうしようもないよ。だめな私が悪いの」

「無理なんて言わないでよ。……あっ」

「どうしたの?」

「ねえ小人さんたち、このギターの中に隠れてよ。それで、まうたんが弾いてる時、こっそり一緒に歌ってあげるの。それならさ、誰にも見つからないよっ」

「で、でも真宇ちゃん、みんな入れるかな?」

「大丈夫だよ。だって前に弦が切れてた時、一度いたずらで入ってたじゃん。ほら、だからお願い。……え?ほんとに?うん、じゃあ試しに入ってみて」

「……あの、やっぱりきついんじゃないかな?」

「うーん……もうちょっと隙間がないとだめだね」

「でも弦、外しちゃったら私たちじゃ直せないよ?」


 話は少しも見えてこないが、俺は出て行った。


「和木坂、帰ってなかったのか」和木坂は猫のように跳び上がった。久し振りの反応だ。


「うあ、え?あ、あ、た滝本くん、いいつからいてゅるる……あ、いつからいたの?」

「今来たとこだ」

「じゃあ、な、ななな何も聞いてない?よね?」

「……弦がどうとか、は聞いたが」

「あ、勅使河原くん。ぼくからお願いなんだけど、弦を外してみてほしいんだ。それで小人さんたちに入ってもらって、ライブの時に手伝ってもらうの。ちょっとずるいかも知れないけど、誰にも見えないしいいでしょ?」


 もう意味がさっぱり分からないが、和木坂が歌えるなら何でもいい。俺はギターの二弦を外し、以前と同じ状態に戻した。


「これでいいか」

「うん、ありがとー。じゃあみんな入ってみて」

「……何人もいるのか?」

「あれ、知らなかったっけ?小人さんは四人なんだよ」

「そうか」

「あ、これで大丈夫だね。よーし、まうたんもう安心だよ」

「う、うん……」

「おい、何が安心なんだ」

「……あの、小人さんたちがね、一緒に歌ってくれるって言ってくれたの。でも、本当は人前に出たりしたらだめなんだって」


 まあ俺としては和木坂が歌えるんなら別に何でもいい。結局、二弦は外したままにしておいた。


 和木坂は自分がずるをしているのではないかと心配していたが、俺は別にいいし必要だと思うなら竹田叶にも伝えておけばいいと言っておいた。


 そして本当にそのまま伝えてしまい、さすがの竹田叶も混乱して「ま、まあ、あんたも頑張りなさいよね」とか言ってた。

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