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第32章

 演奏もかなり完成度が高くなってきた。竹田叶をはじめ、皆張り切ってライブの案内をやっている。その所為で客は多くなりそうだ。


 そうなると和木坂にとっては余計に厳しくなる。何しろ、一週間前の今になってもメンバーの前で声を出せたことすらないのだ。


 曲は俺と相談して一応決めておいたが、どうも俺には本番で和木坂がげろを吐きながらへたり込み、演奏だけが流れ続ける最悪の結果しか思い浮かばない。今までやってきた練習はただげろを吐く練習にしかなっていない。


 ライブの三日前。和木坂の元々病気みたいに細い体は、さらに痩せ細ってしまっていた。


 歌おうとして口を開くだけで全身が震え、えずいてしまう和木坂を見てられなかったので、俺は練習を休ませた。和木坂はふらふら帰って行った。


 その後しばらくは、メンバー全員で打ち合わせながら細かい部分を修正していった。竹田叶は必死に練習しただけあって、少なくとも練習ではそこそこ歌えるようになっている。


 人気投票であることを考えると事態は深刻だ。俺が本気でやって、とりあえず竹田叶を黙らせるしかないか。


 帰り、俺は神社に寄ってみた。もう暗いから帰ったかと思っていたが、いつもの窪みに和木坂がいた。


 見ると、何もないところに向かって土下座している。

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