28/47
第28章
「えっと……だから、優しいんだね。私にも、みんなにも」
「誰でも殴る俺がか?」
「だって弱い人や自分の身を守るために、叩いたりするんだよね?……私みたいなのまで助けてくれて、ほんとに滝本くんって優しいんだな、って」
「……言われたことなかったな」
「あっ」
「何だ」
「あ、あの、や、別に」
「言えよ」
「あ、え……えと、滝本くんが笑った顔、初めて見たから、ちょっとびっくり」
「笑ってたか?」
「うん。笑ってたよ。ふふ」
「……おまえがそんなふうに笑うのも、今初めて見たぞ」
「そ、そうだった?えへへ」
「まあ、もう一人のおまえはよく笑ってるけどな」
笑顔を見た時、こいつが歌声を失ったとしても一緒にいたいと思った。
こんな感情は初めてかも知れない。俺が守れるだけ守ってやりたい。




