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第28章

「えっと……だから、優しいんだね。私にも、みんなにも」

「誰でも殴る俺がか?」

「だって弱い人や自分の身を守るために、叩いたりするんだよね?……私みたいなのまで助けてくれて、ほんとに滝本くんって優しいんだな、って」

「……言われたことなかったな」

「あっ」

「何だ」

「あ、あの、や、別に」

「言えよ」

「あ、え……えと、滝本くんが笑った顔、初めて見たから、ちょっとびっくり」

「笑ってたか?」

「うん。笑ってたよ。ふふ」

「……おまえがそんなふうに笑うのも、今初めて見たぞ」

「そ、そうだった?えへへ」

「まあ、もう一人のおまえはよく笑ってるけどな」


 笑顔を見た時、こいつが歌声を失ったとしても一緒にいたいと思った。


 こんな感情は初めてかも知れない。俺が守れるだけ守ってやりたい。

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