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第22章

 俺は少し離れた高校の敷地の隅、旧体育館へ向かった。


 何人いようが全員殺してやる。錆びた扉を開けた。


「来たわね、滝本」


 竹田叶は奥の壇上からマイクまで使って叫んできた。


 隣には椅子に縛りつけられた和木坂。そして、体育館には全校集会かと思うような人数が、男ばかりで集まっていた。その全員が、やる気らしい顔をして俺を睨んでいる。


 不意に後ろの扉が閉められ、外から鍵をかけた音がした。


「さあ男共、滝本が降参するまでやってしまいなさい。勝ったら約束通り、私を好きにしていいよ」


 そこまで聞いた瞬間、俺の聴覚はまるで働かなくなり、代わりに視界が明るくなった。


 血が体内を駆けた。周りの男が殆ど止まって見える。


 俺は自分の状態に違和感を覚えながら、手近な五人か六人を殴った。誰も反応できないまま倒れていった。


 あと数百人くらい大したことなさそうだ。やっと気づいた。俺は怒っている。さらに十人ほどを殴り倒した。館内全体に恐怖が広がったのを感じた。


 鍵は閉まってんだろ?誰も逃がさんぜ。




 数百人が転がる体育館に、俺は立っていた。


 後半には疲れがきて、こちらも相当殴られた。口の中が切れて鉄みたいな味がしてるし、バットか何かで殴られたせいで多分鼻が折れた。手で無理やり元の形に戻したが、ずっと鼻血が止まっていない。


「おい、竹田叶」

「な、なんで?あんた、おかしいんじゃないの?三百人以上いたんだよ?なんで勝っちゃうの?」

「勝ったらおまえを好きにしていいんだったな」俺は壇上に跳んで上がり、竹田叶に詰め寄った。


 隣の和木坂は縛りつけられたままげろを吐いたせいで、制服がまた汚れてしまっていた。


「い、嫌……ごめんなさい。許して」


 俺は左手で竹田叶の首を掴み、壁に叩きつけた。


「好きにしていいんだったな」

「ごめんなさい許してください」

「なんで、こんなことを計画した」

「だ、だって、こんな女が滝本の彼女だって、私に勝ってるって認めたくなかったんだもん」

「別にいいや何でも。おまえは死ね」

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