第18章
「はあい、竜ちゃんお待た。ほら、見てあげて」
おかまの技術は素晴らしい。髪は女優のような落ちついた黒髪ストレートになっていた。あのばさばさで固まってた悲惨な状態が嘘のようだ。前髪は目の上で横一文字に切られていた。
「ね。可愛くなったでしょ。ほらあ真宇ちゃん、もう自分で切ったり放ったらかしにしちゃだめよん」
「ゴリ、よくやった。感動した」
「じゃあ今日はトリートメントがサービスで、六千円でいいわ」
「なんで俺ん時より高いんだよ」
「女の子はいろいろあるのよ。ねー真宇ちゃん」
そこそこ金がかかるのは知ってたから別にいい。そのくらいの価値はある。
次は百貨店の化粧品売場。和木坂は吐きそうになってたので、一旦トイレに連れて行ってからまた来た。
「おい、そこの人」
「はい。いらっしゃいませ」
「こいつに化粧を教えてやってほしい。一から。それに必要な物は全部買いたい。見ればわかると思うが、高校生でもできるのを頼む」
「はい、かしこまりました。ではこちらへどうぞ」
「あ、あ、あ」
「早く行け」
病的に瞬きするため目元をいじくるのは店員も苦労していたようだが、何とか終わった。しかし女はいちいち時間がかかるもんだ。
「お客様、お連れ様はこのような感じに」
これにはさっきと同じくらい、いや相乗的な効果もあってさらに驚いた。
まあ考えてみるとさっきまでは髪で顔が殆ど見えてなかったんだが、眼は大きく力強く、青白かった顔色も頬紅というのか、血色よく見える。そばかすも多少はごまかせていて、今更にダイヤの原石がお世辞じゃなかったのを実感した。おかまは本気だったらしい。
「ありがとう。じゃあ全部勘定してくれ」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
「おまえ、鏡で自分の顔見たか」
「あ、はい。でも信じられない……なんか、夢みたい」
「ちょっと喋るようになったな」
「あ、あ、すいません」
「いやいいんだ。もっと喋れ」
「あ、あの、でもこんなところ、あの、お金が」
「お待たせいたしました。二万八千五百円になります」
「お、おう。じゃあカードで」
ちょっと想像を超えてた。完全にぼったくられてるな。




