久利生遥偉編 決定的な違い
人間はAIやAIによって制御されているロボットと違って情報を完全には数値化できない。数値化ができないからどうしても『大まか』にしか状況や状態を認識できない。となれば当然、
<誤差程度の違い>
については、
<決定的な違い>
とは普通は捉えられないんだ。脳が勝手に誤差を補正してしまったりするがゆえに。対してAIやAIによって制御されているロボットは情報のほとんどを数値化して捉えていて、
<その時点で自分がいた位置程度の違い>
であっても<決定的な違い>として認識できてしまう。だから完全に同一仕様の機体であっても一瞬一瞬毎に差異が積み上げられていくんだ。だから『違う』と分かる。でも人間はそこまでじゃない。
『自分が自分を見つめてました』
なんて状況になると大きな混乱を起こしてしまうのがほとんどだ。ゆえにそれを前提にした対処が必要になると。
なお、この話は、
<コーネリアス号の乗員>
に限ったことじゃない。
<例の不定形生物内に構築されたデータ世界の中で新たに生まれた人間>
についても当然ながら当てはまる話だ。しかも、
<オリジナルはすでに命を落としているコーネリアス号の乗員達>
と違って、
<例の不定形生物内に構築されたデータ世界の中で新たに生まれた人間>
はそれこそ『オリジナルが現に存在している状態でコピーとして顕現する』わけで、こうなるとそれこそ話が複雑になる。
ルコアの事例がまさしくそれだ。
幸い、ルコアの場合は穏当に今の自分を概ね受け入れられてるから本当にありがたい。
ただこれも、
『出会えたのがビアンカや久利生や灯だったから』
ってのが非常に大きくて、
『ビアンカや久利生や灯の資質や器のおかげだった』
のも間違いない。しかし社会が大きくなってくれば必ずしも全員がそのように受け入れてくれる相手と巡り合えるとは限らなくなる。特にアラニーズやサーペンティアンのような見た目にも非常に特異な者だと受け入れられる者も限られてくるだろうし。
そうなるとサポート役としてロボットを貸与することになるだろうな。だからこそ今のうちにノウハウを蓄積しておきたい。
メイトギアであればクローンに対してのノウハウも蓄積されていてそちらがかなりの部分活かせるだろうものの、<朋群製ロボット>についてはある程度メイトギアが蓄積してきたノウハウが流用できたとしてもどうしても制限もあってメイトギア同士でノウハウを共有するのとは大きく差があるはずなんだ。
その辺りを考慮せず、
『まあ何とかなるだろ』
と考えるのは単なる<思考放棄>だろうな。




