久利生遥偉編 それっぽい振る舞い
まあ、
『人間じゃないものを虐げてきた』
だけじゃなく、
『同じ人間すら虐げてきた』
なんてのも、
<人間(地球人)という生き物の事実>
ではある。それについて目を背けるのも違うだろうな。それに目を背けてちゃ何を取り繕おうとしても上辺だけの対処にしかならないと思う。で、そんな<上辺だけの対処>でまた追い詰められる人間が出てくると。
いやはや業が深い。
黎明のような<子供>の場合はそもそも経験が根本的に不足しているから物事を多面的に捉えて思考できるだけの素養がまだ備わっていない分、<上辺だけの対処>しかできなくても当然だと思う。子供がいきなりそれができるなら<大人による養育>も<教育>も<指導>も必要ないだろうし。
その点、久利生は自らの振る舞いで<手本>を示してくれている。
『上辺だけの対処を子供達に求めない』
という形でも。
『形から入ることで身に付いていく』
みたいなのも確かにあるにせよ、
『上辺だけでも真似してもらえた』
で安心してちゃ駄目だろうな。そこは気を付けないと。地球人社会でも子供が上辺だけ、
<大人にとって都合のいい振る舞い>
をしてくれるとそれでもう安心してしまってそれがただなんとなくそう振る舞っているだけなのか本当に分かっていてそうしているのかをしっかりと確認せずに放置するというのがよく見られた。
しかしあくまで<それっぽい振る舞い>をしているだけなので<解釈違い>によって<大人にとって不都合な振る舞い>をしてしまうと途端に、
『裏切られた!』
的にキレたりするんだよな。『裏切る』も何もそもそもちゃんと分かってなかったんだから常に正解を出せるはずもないと思う。
ゆえに久利生は黎明の分かりやすい部分だけを見て判断しないようにしているんだ。
そこでもし高圧的に振る舞ったりすれば子供も自分を守るために嘘を吐き虚偽や虚飾でその場凌ぎを行おうともしてしまうだろうな。
久利生も言ってたよ。
「僕もその場凌ぎのためにできるふりや分かっているふりをよくしていたよ。そういうのは大抵見抜かれてしまうのにね」
と。
そうだ。大人も、
『自分の見たいものしか見ない』
ことは多いのになぜか不思議と<子供の上辺だけの振る舞い>を見抜いてしまったりすることがある。俺の両親も、俺が光莉にヤキモチを妬いてしまって拗ねているのに<気にしていないふり>をしていたら、
「錬是、子供がそうやって大人の顔色窺っていい子のふりばかりしているのは不健全ってもんだぞ」
「そうよ。<お兄ちゃん>だからって我慢ばっかりする必要ないんだから」
って言ってきたりもしたんだ。




