久利生遥偉編 区別はつける
何度も言うことだが、ここ朋群において<人間(地球人)>なのは俺だけだ。少なくとも俺が地球人社会にいた頃にはまだ<異星人>とのコンタクトには成功していなかったから、
<地球人以外の人間>
というのは存在しなかった。<クローン>はそのままでは人間として認められないものの遺伝子的にも身体の特徴的にも『地球人と同じ』なのは間違いないから、<育成>の後に戸籍(市民権)の登録を済ませ、
『生まれた』
ことにして晴れて<人間としての権利>を得るし、そういう道が残されている以上はあくまでも<人間(地球人)>なんだ。だが、ルコアはたぶん、彼女が生きている間には<人間>として認められることはないだろうな。
この辺りは、
<異星人との接近遭遇>
を念頭に散々議論を重ねられてきたことではあるものの異星人を人間として認めた時にそれまでの地球人社会のあれこれとの整合性が取れるのか否かが実際に異星人と接触し理解を深めてからでないと判断できないとして、議論こそは続けられているものの結論はずっと先送りされているとのこと。
まあ、焦って結論は出さなくても相手側が問答無用で攻撃してきたりでもない限りは地球人側からも無闇に攻撃はしないし普通に<命ある者>として尊重はするのは決まってるからすぐさま問題にはならないだろう。結局のところ、
『自国民と外国人との区別はつける』
的な対応になるのははっきりしてるんだよ。しかもメイトギアを伴ってメイトギアを間に挟んで接触することになるだろうから、人間のように感情を表に出して衝突はしない。後は異星人がロボットについてどう捉えるかが問題だろうな。好意的に捉えてもらえればいいものの、こればっかりは実際に異星人と顔を合わせてみないと何をどうすればいいのかも分からないし。もちろんルコアは攻撃的な気性を持たない穏やかな人柄だからそういう点ではまったく心配は要らないものの、地球人の方が彼女をどう捉えるかどう解釈するかについてはこちらから強制することもできないもんな。
『好意的に捉えてくれるのを期待する』
のも要するに、
『資質や器を当てにする』
ということに他ならないわけで。地球人社会でもその辺りについて改めていこうという流れはあって、
『どこまでを人間とするか?』
もある意味じゃその一環でもあるんだろう。そして人間とそれ以外の区別を明確にしつつ<命ある者>を蔑ろにはしない。まだまだ不十分な面があるのも否めないにせよ、
<人間じゃないもの>
を虐げてきた歴史をこれからも続けないための努力はしているということだ。




