表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3208/3232

閑話休題 転生

『骨も筋肉も体液もすべてが完全に透明である』


そのようなことは、物理的に有り得ない。確かに<透明な体を持つ生き物>というものは存在する。しかし、


『体のすべてが完全に透明』


というのは、生き物が成り立つためには獲得しえない構造なのだ。体が小さい生き物の場合は透明なのも少なからずいるもののそれは各組織が非常に小さいため目につきにくく結果として、


『透明なように見える』


だけでしかなかったりする。地球以外の生物にはそれこそ限りなく透明に近い体を持つ生き物もいるにせよそれでも『完全に透明』というわけではなかった。しかし<例の不定形生物由来の体を持つ者>は、完全に透明なのである。眼球すら透明なので本来なら何も見ることもできないはずにも拘わらずちゃんと身体機能的にはオリジナルとまったく一緒なのだ。ゆえにそれは、


<物理書き換え現象>


によって<透明化>を成し遂げているのだと推測されている。ただしそのこと自体は<例の不定形生物由来の体を持つ者>だけの特徴であり、遺伝的に受け継がれないのはすでに確認されている。おそらく現在の<遺伝子解析装置>などでは検出できない<何らか特性>を持つことで、


『透明に見えている状態を作り出している』


だけだと思われた。そうしてこの事実こそが、


『自分はオリジナルとは別人である』


という認識を可能にしているのだろう。


ただそれは、


『現在の朋群(ほうむ)において唯一の完全な地球人である神河内(かみこうち)錬是(れんぜ)が存在している』


がゆえに相対的に生じている認識だとも言えるかもしれない。他の地球人も他の人間もいない状態で顕現した場合には、


『自分は転生したのかもしれない』


と考えてしまう者がいても不思議ではない。たとえ地球では有り得ない<完全に透明な体>を持っていようとも。


何しろ先にも述べた通り、


『クローンでは人格までは再現できない』


のだから。どれほど透明な体を持っていても記憶も人格もそのままとなれば、


『クローンというわけでもない』


のは認識できてしまうのだから。クローンではないとすればいかに非現実的であろうとフィクションの中にしか存在しないはずの現象であっても、


『転生したのかもしれない』


と思ってしまう可能性だって十分にあるだろう。神河内(かみこうち)錬是(れんぜ)の前に現れることのなかった<例の不定形生物由来の体を持つ者>の中にはそんな風に思ってしまったのもいたかもしれない。


しかし久利生(くりう)はかなり早い段階で、


『自分はオリジナルの久利生(くりう)遥偉(とおい)ではない』


と認識できていたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ