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閑話休題 久利生遥偉

久利生(くりう)遥偉(とおい)は、イケメンである。


惑星探査チーム<コーネリアス>の一員であった久利生(くりう)遥偉(とおい)の記憶と人格と姿をほぼ完全に再現された<コピー>としてこの地に顕現し、<久利生(くりう)遥偉(とおい)>を名乗りつつも、


<同姓同名の別人>


として自我を確立させていた。


『記憶と人格と姿をほぼ完全に再現されてるなら<転生>と言っていいのでは?』


と思うかもしれないが、地球人社会において二十五世紀辺りを過ぎた頃から<クローン技術>は完成された技術として浸透し、ゆえに、


<人間を不法にクローンする犯罪>


が多発。


<オリジナルとほぼ同じ姿を持ったクローン>


が年に数人の割合で<保護>される中で法整備が進み、


『たとえ同じ遺伝子を持っていようとも本人との連続性がなければそれは別の存在である』


と明確に規定され、結果、


『クローンはあくまでも別人である』


という認識が百年二百年の間に浸透するに至ったのだ。これは、


『違法なクローンをつくるという犯罪を犯した者の責任と罪をクローンに負わせないようにするため』


というのが法整備の一番の理由だった。何しろ違法なクローン製造についてはそのほとんどが、


『クローンによって作り出した新たな肉体に乗り換えることで生きながらえようとする』


のを目的に作られるため、クローンの基となったオリジナル自身が<犯罪者>であることが大半だったためである。加えてクローン技術では<人格>までは完全に再現できないのもあり、生み出されたクローンは基本的に<別の人格>を有するのが当たり前だった。<記憶>についてはコピーも可能なものの記憶自体は決して<経験>ではない上に人間の記憶というのはえてして脳内で無意識のうちに改変改竄が行われて<本来の情報>とは変質している場合が多いため、それを基に人格が生じてもオリジナルのものとまったく同じにはならないのがむしろ当然だったのだ。


だからこそ、


『オリジナルとクローンは別人である』


という認識が定着したのもあって、久利生(くりう)達も自身を、


『オリジナルとは別人である』


と受け入れやすかったのはあるだろう。しかし<例の不定形生物由来のコピー>については、


『記憶と人格もほぼ完全に再現している』


ので<クローン>とは根本的に異なり、それこそ<転生>と称してももしかしたら間違いではないのかもしれない。が、今の久利生(くりう)遥偉(とおい)の肉体にはオリジナルとは根本的に異なっている部分がある。それは、


『骨も筋肉も体液もすべてが完全に透明である』


という点だった。これでは<自己との同一性>がすんなりと飲み込めないだろう。



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