黎明編 それができるのが人間という生き物
蒼穹の<乱暴な遊び><危険な遊び>に付き合ってた黎明がルコアの子供に対しても蒼穹と同じことをさせようとする可能性そのものは否定できないと思う。そこでただ根拠もなく、
『大丈夫だろ』
と考えて何も対策しないのは単なる<放任>でしかない。かといって<躾>と称して高圧的に抑えつけようとするのは子供に、
『こうやって他者を自分に都合よく操るんだと教えることになる』
だけだろうな。加えて子供は人生経験が不足してるからこそ<リスク>について実感を持って想像することができなくて、
『するなと言われてることをやってしまう』
場合もあるそうだ。『するな』と頭ごなしに命令しても何かに集中するとスコーンと頭から抜け落ちてしまうらしい。当人には悪気はないんだよ。分かっていて敢えてやる子供もいるにしても、それは決して全員というわけじゃない。ただただ意識から抜け落ちてしまうだけという場合も多いんだ。
ゆえにもしそうなったとしても多少は痛い思いをすることがあったとしても致命的な事態には至らないように対策を考えるのが<人間の大人の役目>なんじゃないか? 人間にはそれができるからな。それができるのが<人間という生き物>だと思うんだよ。
そして子供にとってはその時の<失敗>も貴重な人生経験になるだろう。
その辺りまで考えてロボットを配してるというのもあるんだ。
「ルコアの赤ちゃん生まれたら私がいっぱい遊んであげるからね♡」
自室で体と頭を休ませているルコアに黎明が満面の笑顔でそう話し掛ける。未来と、
<ルコアのパートナーの座>
を巡って火花を散らしていることなどすっかり忘れたかのように。ルコアの自室のドアの前でたまたまそれを聞いていた未来が、
「ま、今は黎明に任せるか」
と独り言を口にしながら去るのを、ルコアへの食事を持ってきたホビットMk-Ⅱが見ていた。
やっぱり未来にとっては、
『黎明も自分と一緒にルコアを支えるパートナー候補だ』
ということなんだろう。そう考えられるのは未来自身の<器の大きさ>もあるんだとしてもそれ以上に、
『ルコアを幸せにするためには黎明の力もあった方がいい』
と素直に思えているからというのが大きい気がする。
元々の種族としての特性がそこまで特定のパートナーに執着することがないというのが無意識に影響を与えているのに加え、その感覚を否定してまでルコアを独り占めしなければならない理由が彼にはないんだ。
その点、地球人社会には余計な口出しをしてくるのが少なからずいたからなあ。




