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黎明編 乱暴な遊び

ビクキアテグ村の住宅は、普通に立っているだけでも地球人よりもずっと背が高くなってしまうビアンカやルコアが無理せず出入りできるように、ビアンカやルコアのための家だけじゃなくすべての家の屋根が最も低いところでも四メートルを超える高さに作られていた。


けれど蒼穹(そら)はその高さをものともせず登ってみせてそこから飛び降りるんだ。さすがにまだ幼い頃の彼女だったら、命にまで関わるほどのものじゃないにせよ怪我をする可能性があった。だからほとんどは(あかり)が受け止める役目をしていたが、(あかり)の代わりに黎明(れいあ)が受け止めることもあった。不思議と未来(みらい)やビアンカや久利生(くりう)の前ではその遊びをやらなかったのに、(あかり)以外だと黎明(れいあ)とだけその遊びを好んでやっていたんだ。


付き合わされる形になるはずの黎明(れいあ)も喜んでそれに付き合っていた。テンション高くはしゃぐわけでもないものの器用に黙々と壁を伝って屋根に上り躊躇なく四メートル以上の高さから飛び降りる蒼穹(そら)を見事にキャッチしてみせるのが黎明(れいあ)だった。


もちろん子供だけでそんな危険な遊びをさせてたわけじゃない。ハートマンやグレイが必ず黎明(れいあ)と共にいて、彼女がキャッチを失敗した時には代わりに受け止めるようにすぐ脇で待機してくれていた。


が、一度として黎明(れいあ)は失敗したことがない。確実に蒼穹(そら)の体を受け止めて、静かにドヤ顔を見せる蒼穹(そら)に対して、


「すごい♡ すごい♡ じょうずにとべたね♡」


と褒めていたりもした。地球人社会であれば、


『とんでもない!』


的に非難も集めるだろうが、俺達は肝を冷やしながらも元々の強靭さを命の強さを信じてハートマンやグレイにフォローを任せて見守るだけにしていたんだ。


だからいわゆる<躾>なんてものはしていない。<危険な遊び>についてもそれをこなせる能力が備わってる以上は地球人の感覚で目くじらを立てる必要はないと思うんだよ。その上で安全マージンは確保してたし。


地球人社会でもいたよな。


『危ない遊びをしなくなったから子供が貧弱になった』


みたいなことを言う人間が。俺達がやってるのもそれと同じものと感じるかもしれないが、『危ない遊びをしなくなったから子供が貧弱になった』的なことを言う人間は無責任な発言をするだけで実際のリスクについて自分では何もしないからなあ。


『本人のやりたいようにやらせる』


のは、取り返しがつく範囲で済むように対策をした上での話だと思う。それに<躾>と称して頭ごなしに怒鳴りつけたりするのも違うと思うんだ。



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