黎明編 人間同士の軋轢を生み出す原因
『気に入らない相手に対しては暴言を吐き威圧し時には暴力を振るってもいい理由を作る』
ことがそんなに大事なんだろうか。俺にはまったくそうは思えない。むしろそれこそが、
<人間同士の軋轢を生み出す原因>
になってる気がして仕方ないんだ。『気に入らない相手に対しては暴言を吐き威圧し時には暴力を振るう』なんてことをしていてそれで『良好な人間関係が築ける』とかどうして思えるんだか。
確かに人間は、
<社交辞令>
を使うことができる。
『体裁を取り繕う』
こともできる。それによって自身の腹の内を隠して表向きは<良好な関係>を築いてるように見せ掛けることもできる。でもそれは、
<大きなストレス要因>
にならないだろうか? それによって精神をすり減らして生きることすら嫌になったりすることはないんだろうか? もしくは抑えていたものが暴発してしまったりなんてことが。
黎明もそうだが、未来も蒼穹も<躾>なんてものはされていない。
『人間はこうあるべきだ』
みたいなものを押し付けられてこなかった。だから地球人社会における、
<礼儀正しい振る舞い>
みたいなものは見せることができない。未来や黎明はもちろん蒼穹も他人の前で服を脱いだりすることを躊躇ったりしないしテーブルマナーなんてものはそれこそ『どこ吹く風』状態だ。それでも黎明も未来も蒼穹も、
『他者を敬う』
ことはできる。
『他者を慮る』
ことはできる。誰かを見下して蔑んで貶めることを楽しんだりはしない。
『ざまあw』
と嘲ったりもしない。その必要がないからだ。
なるほど黎明は未来に対しては辛辣だし暴言を吐くこともある。けれどそれは結局、未来が自分にとって対等以上の存在だと思っているからこその『遠慮のなさ』だと思うんだ。『見下してる』わけじゃないからこそ遠慮する必要がないとでも言うべきか。
言い方を変えれば、
『甘えている』
感じかな。だからこそ自分より非力な相手にはそんなことをしない。異母妹である蒼穹がまだ小さかった頃にも横暴な態度で接したことはない。自分の言うことをきかせようとして怒鳴ったり叩いたりしたこともない。
蒼穹がまだようやく一歳になったばかりの頃、アクシーズは種族的な特徴として小柄なので見た目にもようやく二歳になったかどうかという感じの彼女が、種族としての本能がそうさせるのか高いところに上っては飛び降りるのを黎明が受け止めるなんてなんとも乱暴な遊びにハマっていた時期もあったりしただけだ。




