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黎明編 熱烈な恋愛

『ただお互いに心地好くいられるパートナーとして一緒にいるのを選んでいただけ』


<恋愛感情>以上にそういう形であれば『恋心が冷める』ことなく長い時間を共に過ごせたりもするんじゃないかなと思う。


実際、<友人>なんかの場合だとそれこそ生涯に亘ってその関係が続く例もそこまで珍しくない気がするし、事実そういう調査結果もあるそうだ。


『男女の友情は成立しない』


とはよく言われるし、俺自身としてもシモーヌと結婚し子供まで迎えた以上、<ただの友人>ではいられなかったのも確かだ。ただ、彼女との関係が<男女の友情>と言えるようなものではないにしても、


<熱烈な恋愛>


だったかと言われればそれはそれで疑問しかない。俺の手記を読む者がいたら俺とシモーヌの間にあった感情が<恋愛もののフィクションで描かれるそれ>と同じものだと感じるだろうか? おそらく感じないと思うんだよ。


最初の頃はさすがに、


<地球人の形質を持つ異性>


として少なからず意識してたのは確かだよ。気持ちが昂ることがなかったと言えばそれは嘘になる。なるが、だからといってその昂りが<恋愛感情>かと言われれば間違いなく違うと自信を持って言える。ある程度の自分好みな見た目を持つ異性に対してであればたとえ見ず知らずの赤の他人であっても励起されてしまうただの<劣情>だった。それは<恋>とは違うんじゃないか?


まあ<恋>自体は性的な昂りとの関連性が非常に高いのは事実でありつつ。人によっては、


『相手を性的な目で見ないのは<恋>とは言わない!』


みたいな考え方をしていたりもするのか。俺も無関係だとは思わないが。なにしろシモーヌとの間に錬慈(れんじ)を迎えてるわけで。かといってそれだけじゃない気もする。今では最初の頃ほどセックスもしてないし。<レス>というほどではなくても『毎日のように』ってわけでもないんだよ。なんとなくお互いに気持ちが高まってきたらって感じで。


この辺りをあまり開けっぴろげに語るのも憚られるものの大事なことだから。


いずれにせよシモーヌとの関係は<分かりやすい恋愛>じゃないのは確かで、やっぱりどちらかと言えば<友人>に近いとは感じてる。さりとてセックスもしてるのに<友人>というのもおかしいとは俺も思うよ。


その一方で、普通の恋愛感情だったら今まで一緒にいられてはいなかった気もするんだ。<恋愛>ってどうしても、


『相手に対して自分をよく見せたい』


と思ってしまいがちな部分も少なからずありそうだなあと。



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