黎明編 現実にはあんなカップルは
<恋愛もののフィクション>
ではえてしてかなり強引な真似をしてライバルから意中の相手を奪い取ったりすることもあるものの、俺個人としてはそういうのはあまり面白いとは思えなかった。それを面白いと感じる人間は、
<そこまでして想いを貫こうとする姿>
に熱意を感じたりするのかもしれないものの俺にとっては違うんだ。そういうことをやってしまえるその性根がすごく危うげで、たとえ意中の相手を自分のものにできたとしてもその<意中の相手>との関係を良好に保ち続けることができるのか疑問に思えてきてしまうんだよ。なにかちょっと行き違いがあったり双方の感情が噛み合わなくなった時に今度は<意中の相手>に対して悪感情を向けてしまったりするんじゃないかと心配になってしまうんだ。
まあだからこそ<恋愛もののフィクション>は恋が成就されたところで、
<ハッピーエンド>
となってそこから先が描かれることはないんだろうが。
でも現実には熱烈な恋愛を経て結ばれた者同士が数年後には破局してしまうなんて珍しくもなんともないからなあ。
実際にあるウエディングプランナーが自分が手掛けたカップルについてその後を追跡調査したところ、実に二割のカップルが五年以内に離婚していたとのこと。これ自体は別にそのウエディングプランナーの手腕に問題があったわけじゃなくて、既婚者の二割近くが数年以内に離婚していたという別の調査結果もあるから、むしろ一般論なんだろうとは思う。さらに十年以内となれば三割が、三十年以内となれば八割が。そして生涯連れそうカップルとなればもはや一握りなわけで。
<恋愛もののフィクション>でハッピーエンドを迎えたはずのカップルが物語の後でそんなことになってたりしたらそれこそ作品を楽しんでた者達は激怒するんだろうなあ。
まあだからこそ劇中では現実では有り得ないほどの強い想いを演出したりするんだろうが。物語が終わった後でも現実のカップルのような結末を迎えるとは思えない印象を与える形で。
でも現実にはあんなカップルはまずいない。俺の両親はすごく仲が良かったが、それは<恋愛>としてじゃなかったと思う。ただお互いに心地好くいられるパートナーとして一緒にいるのを選んでいただけだと二人とも言っていた。
<乱交型の生殖>を行う動物であるはずの人間(地球人)でもそういう形でなら長く同じ相手と暮らしていられるんだろうなと感じるんだよ。
黎明とルコアと未来もそういう形でいてくれればなと思う。




