黎明編 そんな自分に正直になるだけ
『人間は本来乱交型の生殖を行う動物だからそれを正しい在り方として認めろ』
ねえ……
人間(地球人)が、
<乱交型の生殖を行う生き物>
であるのは事実だと思う。その事実を曲げるのは違うとも思う。だが人間(地球人)は<感情の動物>でもあり、
『パートナーが他の誰かと親密な関係を持つのは嫌』
と感じてしまうのもまた事実なんだろう。だからそういう相手と付き合うならせめて<パートナーでいる間>くらいはその気持ちを慮るのも人間(地球人)としてはおかしくもないと思うんだよ。残念ながら<恋愛感情>みたいなものはいつか冷めるしそれが冷めたらパートナーを解消してそれで堂々と次のパートナーや<遊び相手>を見付ければいいだろう。
『人間がいつでもそんな理性的でいられるわけないだろ!』
と言うかもしれないが、あのなあ? 『下半身だけのものを考えてる』ようなのをそんな偉そうに言うことか? 恥ずかしいとは思わないのか? 俺は思う。俺にだって<浮ついた感情>みたいなものは確かにあるし、人間不信が極まってた頃ならともかく今なら<自分好みの相手>が現れたら揺らいでしまう可能性は十分にあるのも分かってる。分かってるからこそ、
『そんな自分に正直になるだけ』
じゃ駄目なんだってのも感じるんだよな。『自分の気持ちに正直になる』のは必要な時もあるのは承知しつつ、それはえてして<パートナーの気持ち>とは衝突しがちであるのを無視するのは、
『パートナーを人間として扱ってない』
以外の何ものでもないだろ。その辺りについて価値観のすり合わせを行えるパートナーを見付けるか、それが嫌ならパートナーを作るのを諦めるかのどちらかだと俺は思ってる。
まあ地球人社会でもそれがゆえに、
『恋愛なんて面倒だ』
と考える人間が増えてそれが極まって<人口爆縮>が起こったりもしたんだろうが。
でも俺個人としてはそれで人間(地球人)が滅ぶならやむなしだとも思ってるんだ。もっとも、結果としては宇宙にまで生息域を広げて三百億人(諸説あり)にまで人口が増えたわけだから<種としての地球人>もなかなか強かでしぶといと思うよ。
それは同時に、
『相手を人間として接するのをやめなかった』
のを表してると言える気がする。
『人間として扱われなかった人間は、他者と人間として扱わない人間を再生産する』
というのは確かにあるだろうし。その点、黎明は未来に反発しながらも彼を人間として扱わないわけじゃない。人間じゃないものと思ってるわけじゃない。
<ルコアを独り占めしたいという気持ち>
も抱えつつ。




