黎明編 ただの人間関係の一種
<恋愛>なんて言葉を使うといかにもそれが何か特別なもののように思えるかもしれないが、俺自身の人生経験と両親から学んだものを併せて考えてみると、それも結局のところ、
<ただの人間関係の一種でしかないという実感>
しかない。なるほど、
『それ以外の人間関係と比べると性的欲求と非常に結びつきやすい』
と言うか、
『種の保存の本能が影響している』
と言うかで、確かに<特別な人間関係>だと考えることもできるのかもしれない。だが、<性的欲求>とか<種の保存の本能>だけで恋愛をする人間ばかりじゃないのも事実だと思う。実際、地球人社会には、
<セックスを伴わない恋愛関係>
を成立させているカップルもいるわけで。でもなあ、そうなると余計に、
『他の人間関係と何が違うんだ?』
と感じるんだよ。セックスが伴わないならなおさら相手を独占しなきゃいけない理由が希薄になる気がして仕方ない。セックスが伴うなら、男性側は、
『自分の遺伝子を受け継ぐ子供を確実に残したい』
だろうから自分以外の誰かとセックスされるのは困るだろうし、女性側も、
『自分が認めた男性の遺伝子と自分の遺伝子を掛け合わせた子供が欲しい』
だろうから自分以外の誰かとの間で子供を作られるのは不愉快だろうしで、『独占したい』と思うのも当然なような気がする。しかしだからこそ『子供も要らないしセックスもしない』関係の場合、相手を独占するメリットが果たしてどの程度あるのか。
単純に、
『なんか嫌だから』
という、
<曖昧模糊な感情の問題>
になってしまう気がする。そんな極めて独善的で不合理な感情で相手を縛るのはつくづくどうなんだろう。それは相手を人間として見てると言えるんだろうか?
『相手を単なる自分の付属品のように思ってる』
ということにならないか?
『相手を人間として扱っていない』
ということにならないか?
なるほど<ただの友達>であっても自分以外の誰かと仲良くされるとなんとなくモヤッとした気持ちになってしまうのもあるかもしれない。それは俺にもなんとなく理解できる気がしなくもない。けれどそこで相手を過剰に束縛するのはやっぱり『相手の人格を認めてない』ってことのような気がするんだよ。
黎明がルコアに対して抱いてる気持ちも、『ルコアを独占したい』『ルコアが他の誰かと親しくするのは嫌だ』という、<ルコアを縛ろうという欲求>が内包されたものであるのは事実だと実感する。
まだ年齢的に幼いからそうなってしまうんだろうな。




