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黎明編 子供を生んでおけばよかった

今の地球人社会では、子供を生むのは<義務>じゃない。地球の歴史上では<国>を維持するために、


<子供を生むことを義務化した国>


なんかもあったと聞くし、<人口爆縮>が起こった時期なんかはそれこそ多くの国が義務としたそうだ。地球人類が滅ぶのを防ぐために。


もっともそんなのはただの建前で、


『自分達の国だけは存続できるように』


というのが本音だったらしい。とはいえ、それも<努力の一種>には違いなかったんだろうもののその努力は実を結ぶことなく人口爆縮の流れは一向に止まらなかったとのこと。そりゃそうか。もうすでに、


『子供を生むのも生まないのも自由』


という価値観の下で何代も世代を重ねてきたんだから今さら<義務>なんて言われたところで納得できないだろうし。


加えて、


『子供を生まないからといって厳しく罰そうとしても命まで奪ったらそれこそ本末転倒だ』


というのを見透かされていたからほとんどそれに従う者はいなかったと記録にはあるんだよ。なにしろ死刑制度が廃止される前に死刑判決が下った凶悪犯罪者すら死刑を執行せず<労働力>として刑務作業に当たらせていたくらいだから、


『死刑相当の凶悪犯罪者さえ殺せないほど追い詰められている』


と誰もが察してたし。で、結果として、


『死刑を執行しない建前上の根拠として死刑制度を廃止した』


国もあったそうなんだ。


そこまで行くともう<子供を生む義務>自体が形骸化。やがて廃止されていった。ゆえに今の地球人社会では、


『子供を生む義務を唱えること自体がハラスメントとして咎められる』


ところにまで至ってる。至ってるもののなお、


『子供を生むのは義務だ』


と考える人間も今なおいるし、そういう<圧力>は存在するんだ。ハラスメントになるのを避けるために露骨に口にはしなくても、<育児雑誌>をプレゼントしたりという形で。


そういうのも<無数のストレスのうちの一つ>として心理的な負担を掛け、問題を複雑化させるんだよ。


俺達はそんなのも望んでない。黎明(れいあ)達にそんな負担を掛けるつもりもない。黎明(れいあ)がルコアとパートナーになって結果として子供を生まなくてもそれを咎めるつもりもないんだ。ただ、黎明(れいあ)自身がその選択についてしっかりと自分で負って、後悔しないでいてくれたらそれでいい。


『子供を生んでおけばよかった』


みたいに思わないように。


が、同時に人間というのは失敗する生き物でもある。どんなに自身の選択について責任を負ってるつもりでもいつかそれを後悔する場合もあるんだよなあ。



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