黎明編 成長のための努力を忘れない
正直なところ、光はとても<優等生タイプ>で規範意識も十分なものを備えてくれてるが灯は<自由奔放タイプ>だから姉の光ほどその辺のところは巧くない。だから地球人社会だと、
『失礼な奴だ!』
『マナーも知らないのか!』
と憤慨されたりすることも少なくないと思う。もっとも、そうやって自分が気に入らない相手に『失礼な奴だ!』『マナーも知らないのか!』などと悪態を吐くの自体が<礼儀礼節を欠いた振る舞い>なんだと理解しようともしない人間が口にする評価だとか、耳を傾ける値打ちも感じないけどな。
あれは本当に不思議だ。他人の<礼儀礼節を欠いた振る舞い>には煩いのに自分のそれにはまったく無頓着というのは本当に意味が分からない。
そう言えば地球人社会では、
『マナー講師こそが一番の礼儀知らず』
みたいな話もあったな。
『マナーの話をするために平然と誰かを貶し蔑む』
とかなんとか。まあそこについては俺も共感せざるを得ない部分も正直なところあったりはする。メディアに出ていたマナー講師が他人の親を悪し様にこき下ろしていたのを見た時には本当に開いた口が塞がらなかった。
『こいつはきっと俺の両親もこき下ろすんだろうな』
と感じたよ。俺の両親は俺にとっては素晴らしい人達だったが、必ずしも『育ちがいい』みたいな感じじゃなかったからなあ。<粗暴>とか<イキリ>みたいな方向じゃなくただただ、
『肩ひじ張らない感じ』
だったわけで。
『基本的に善人ではあるものの高級料理店で完璧なマナーを披露するみたいなことができるようなタイプじゃない』
とでも言うべきか。
でも俺にとっては一番だったと思う。たまに反発せずにいられない部分もあったとしても。
だけどそこは、
『人として成長する努力を実地で見せようとしてくれてた』
感じだったな。人間である以上<親>も完璧にはなれないからこそいくつになっても成長のための努力を忘れないのが大事であると自らの姿で手本を示してくれてたわけだ。そして今では俺もそれに倣ってる。
灯も野卑で粗野ではあるものの<いい子>だよ。<親の欲目>もあるにせよ俺にとっては自慢の娘だ。光と共に。タイプは真逆に思えても二人とも、
『他者の存在を否定しない』
からね。
『他者を慮る』
ことができるからね。人間である以上はそれがすごく重要だと思ってる。玲やキャサリンはその点で不十分かもしれないものの、
『進んで他者を害そうとしない』
時点でそれはある意味では『他者を慮ってる』とも言えるわけで。特に彼女達のように生来の攻撃性が非常に高いタイプの場合は。




