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黎明編 リラックスできてるか?

『他人の所為にするな』


『社会の所為にするな』


は、気に入らない誰かを罵倒するために使う理屈じゃない。自身の礼儀礼節を欠いた振る舞いを他人の所為にして社会の所為にして正当化しようとするような者が口にしていいものじゃない。


『気に入らない誰かを罵倒する』なんてのが<礼儀礼節を欠いた行為>であることを理解しようともしない人間が使うなんてのはそれこそ『烏滸がましい』以外の何ものでもないと俺は思う。だから俺達は自分の子供達がそんなことをしようとしていたら放っておかない。自身の行いがどれほど卑劣で悪辣でさもしいものかを分かってもらうための努力をする覚悟もある。


まあ幸い、その必要もないが。未来(みらい)に対しては辛辣な黎明(れいあ)でさえ他の誰かに対してはそんな風にしないし。まあサディマに対しては<人見知り>を発動した上で彼に対しては興味自体がないからいささか冷めた態度も取るもののその辺は単純にまだ子供ゆえに<社交辞令>が身に付いてないだけだと思う。俺だって子供の頃には知らない人相手に愛想よくするというのは苦手だった。しかも地球人社会では子供が知らない相手に無闇に愛想よくするというのも憚られる空気があったし。


ロボットが常にすぐ身近にいることで事件に深く巻き込まれるようなことはほとんどなくなったものの、未遂であっても<怖い目>に遭うことはあるからなあ。


あと、<丁寧な挨拶>自体がロボットの役目になってるというのもある。主人はロボットがまず丁寧に挨拶を交わした後に改めて挨拶する形が一般的なんだ。ロボットが示してくれた手本をなぞるのが無難ということで。


『そんなことで礼儀が身に付くのか?』


と思うかもしれないが、いやいやむしろ<最適解>を間近で見てそれを真似ればいいだけだから自然と身に付いていくんだよ。人とよく関わるようなタイプならなおさら。まあ俺は両親が亡くなってからあんまり積極的に関わろうとはしてなかったからそういうのを身に付ける機会も少なかったが。光莉(いもうと)もそのとばっちりを受けた形だったから申し訳なくは思ってる。


まあでも、そのあとでそんなもの関係なくなってしまうんだけどな……


って、それは今は脇において、とにかく黎明(れいあ)の様子だ。だが、実の母親であるビアンカも微笑ましそうに見守っているところを見る限り大丈夫なんだろう。さらには、


(あかり)黎明(れいあ)はリラックスできてるか?」


俺が傍にいたホビットMk-Ⅱのスピーカー越しに問い掛けると、


「うん、大丈夫だと思うよ」


さらっと応えてくれたのだった。



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