黎明編 食用肉確保のための狩り
黎明達の<警護>となれば本来はハートマンやグレイの役目ではあるものの、何度も言うように今回の目的は、
<食用肉確保のための狩り>
だからキャサリンはもちろんレオンやオオカミ竜らとも争うつもりは毛頭ない。
『レオンやオオカミ竜から身を守る』
必要はないんだ。ましてや、
『獲物を横取り』
するつもりもない。ゆえにキャサリンやレオンやオオカミ竜らの動きをチェックしてかち合わないようにする。まあレオンもオオカミ竜も基本的には夜行性であって狩りも夜に行うから昼間は休んでるし、ちゃんと休んでるかどうかを監視担当のホビットMk-Ⅱらに確認してもらってその情報を随伴してるホビットMk-Ⅱらも共有してるわけだ。そして昼間に狩りを行うキャサリンについては、彼女から遠く離れた場所で狩りをするためにドウとも情報を共有する。
今の時点でキャサリンとは直線距離でも数キロ離れてるからお互いに気配を感じることすら基本的にない……とは限らないのか。アラニーズとしての能力をフルに発揮すると数キロ先の獲物の動きすら察知できたりするそうだからなあ。
でも、さすがにこの距離ならたとえ気配を察知したとしても衝突はしないさ。もしキャサリンが近付いて来ようとしてもその情報はホビットMk-Ⅱにも共有されていてさらにそれがビアンカに伝えられるわけで。
そしてそれができるのも『人間ならでは』なんだよな。
『情報を武器にする』
のも人間の恐ろしさだ。どんな強大な猛獣であっても研究し弱点を暴いて必要とあらば強力な火器を用いて一方的に殲滅することだってできてしまう。しかもロボットを使えば自分達は、
『空調の利いた快適な部屋で寛ぎながら』
でもそれができてしまうんだよ。そんな人間が一方的な暴力を肯定すればどんなことになるか、想像できないか?
俺はそういうのは嫌だ。そしてそれはビアンカも久利生も同じ。そのためのホビットMk-Ⅱの随伴なんだよ。
とはいえ、黎明達にはその辺の事情はまだよく分からないようだ。けれど、よく分からないなりに節度はわきまえてくれている。
『火器はあくまで護身用。狩りには使用しない』
『狩りは獲物との勝負。己自身の力でのみ挑む』
『獲物は一回の狩りで原則一人一頭まで。濫獲はしない』
それをビアンカも灯も守ってくれているから黎明達にとってもそれが当たり前になっていた。子供にとっては、
『親の振る舞いが一定の基準になる』
のは間違いなくある。親以外のところから得た情報も経験と共に加味されてはいくが。




