黎明編 何かを貶めるためだけにあるのか?
そんなわけで俺達は、
『性は猥褻なものである』
という認識を作りかねない言動は慎んでるし、
<性の猥褻さを面白おかしく描いたエンタメ作品>
についても子供達には見せないようにしてる。地球人社会では本当に多種多様なエンタメ作品がコンテンツとして生み出されていたから、光莉号やコーネリアス号に残されていたコンテンツの中から<性の猥褻さを面白おかしく描いたエンタメ作品>については除外して視聴できるようにしているんだよな。
この辺りはAIに任せておくだけでもしっかりと対処してもらえる。しかもそれを除外してもおそらく一生かけても閲覧しきれないほどのエンタメ作品があるんだよ。
『嫌なら見るな』
が完全に成立するくらいには。
『なにも嫌な思いをしてまで無理に見なくても、他に面白い作品は文字通り無数にある』
ということだ。こうなるともう、
『自分の好みに合わない作品を追うのに費やして自分好みの作品を摂取する時間が失われた』
なんてことにもなるからなあ。それでも、特定の作品を延々と貶めることに時間を費やす者も今なおいて、ストレス源をばら撒いてると。本当に悲しい奴らだよ。
『お前の命はただただ何かを貶めるためだけにあるのか?』
と思わずにいられない。もし黎明達の誰かがそんな生き方をしていたら放ってはおけない。が、ルコアのことではネガティブな感情も見せる黎明であっても、
『誰かを何かを延々と貶めることに時間を費やす』
なんて方向には進まないのが分かる。そんなことをするくらいなら真っ向から未来とぶつかるだろう。それこそ<流血の事態>に至るくらいの激しさで。<獣人>達にとってはむしろそれが当たり前なわけで。
とはいえ<人間>として生きていくならその攻撃性は努めて慎重に丁寧に制御しなくちゃならないのもまた事実。<人間>である以上は、
『自分自身が備えている以上の力を使う』
ことができてしまうから。実際、黎明はナイフや銃の扱いにも慣れている。この世界で自分自身や家族や仲間を守るためには必要なものだし。一対一なら滅多なことで後れを取ったりはしなくても、<数の暴力>の前には限界がある。そういう時には<武器>を躊躇なく使う。それが必要なんだ。同時にただ自分の感情にのみ従って武器を使っては大切なものまで壊してしまうリスクが高くなる。加えて、人間が相手の時は当然ながら相手も<武器>を使う。こうなると後は、
『どちらが先に相手を滅ぼすか?』
というところにまで行き着いてしまうだろうな。




