黎明編 レクリエーション
で、今日は<肉>を確保するために狩りに出る日だった。
この辺もロボットに任せておけば人間は何のリスクを負うこともなく肉を食べられるわけだが、
<猛獣としての気性を持つ獣人>
の場合は生来の攻撃性についてもある程度は日常的に発散した方がいいだろうというのもあって、未来と黎明とイザベラについては月に数回、狩りに出るようにしていた。
ただ、ルコアと蒼穹は性分的に狩りには興味がないそうなので、畑仕事などで体を動かしてるだけで十分らしい。
でも未来も黎明もイザベラも本質的には<猛獣>だからなあ。
『たまには血を見ないと落ち着かない』
のはあるとのこと。それを人間相手に発揮されても困るので狩りにしてるわけだ。
で、狩りにはビアンカと灯が交代で付き添う。今回の付き添いはビアンカだった。サポート役としてホビットMk-Ⅱ三機が随伴する。いざという時には身を挺して人間を守るために。まあその<いざという時>自体がこれまでなかったが。
なにしろビアンカは、
<元軍人だったオリジナルのスキルをそのまま受け継いだアラニーズ>
であり、灯も、
<人間の知能と技能を駆使するアクシーズ>
なもんで、はっきり言って<数の暴力>さえ気を付ければ並のレオンやオオカミ竜なんか歯牙にもかけないんだよなあ。
というわけで、今日はビアンカが引率で狩りに向かう。
「キャサリンの方はお願いね」
随伴するホビットMk-Ⅱにそう声を掛けたのは、キャサリンの邪魔にならないようにするためだ。決して<遊び>ではないとはいえ<レクリエーション>的な側面があるのも事実なビアンカ達に対してキャサリンにとっての狩りは本当に、
<生きるための必要なこと>
だから彼女の邪魔になるのは絶対にNGなんだよ。
ちなみにそのことはサディマも承知してるからキャサリンの前に姿を現すようなことはしないでいてくれてる。それを見るだけでも彼が真剣なのが分かるというものか。
というのは余談でありつつ、未来と黎明とイザベラを伴って、ビクキアテグ村を囲む柵に設けられた門を開けて草原へと向かった。
ビアンカと未来と黎明は、軍服をベースにデザインされた作業服に身を包み、イザベラはいつもの通り裸だった。少しは服を着るようにはなってくれても感覚を研ぎ澄ましたい時には特に服を着たがらない。
以前にも触れたとおりアラニーズの本体側に生えている短い毛はある種のセンサーの役目もしていてそれが濡れたままになったり覆われたりするのを嫌うのも影響してるのかもしれないな。




