黎明編 そもそもヤンデレ化させない
実際、いわゆる<ヤンデレ>と呼ばれるようなタイプの人間が起こした事件も数多くある。幸いそのほとんどはメイトギアをはじめとしたロボットによって取り返しのつかない事態にまでは至らなかったものの<未遂>ではあっても事件は事件だから当然のごとく裁かれもする。そこまで至らずに事件化しなかった事例も含めればそれこそ無数にあるかもしれない。
『事件にならなかったんだからよかった』
では駄目だと俺は思うんだ。
『メイトギアをはじめとしたロボットがいてよかったよかった』
で済ませてちゃ、そこで精神的に傷付いた者の存在を蔑ろにしているとも思うわけで。だから、
『そもそもヤンデレ化させない』
のが大事だと思うんだよ。生来の性分的にそうなりやすい者もいるとしても『だから仕方ない』で済ますんじゃなくロボットに頼り切るんじゃなくまず人間自身がそれを回避する努力をしなきゃ駄目だと思ってる。<ロボットによるセーフティネット>はあくまで、
<いざという時のためのもの>
のはずだし。
『ロボットが守ってくれるんだからいい加減なことをしていていい』
のは違うだろう? ロボットだけじゃなく<保険>もいざという時のための備えではあるものの、
『保険があるから無茶していい』
とはならないはずなんだ。俺はそれを忘れたくないし子供達にもそれを受け継いでいってもらいたいんだよ。
日常的に俺達はそこを意識してる。『面倒臭い』じゃなくてちゃんと<必要なこと>としてビアンカも久利生も心掛けてくれている。ゆえに頼りになるし信頼もできる。そしてその結果が今の黎明としてちゃんと表れているし、表れているのを確認するために見守りを続けてる。
サディマ相手にルコアが少し照れたような素振りを見せたことで拗ねた黎明を、
「ごめんね。でも本当に彼のことは別になんとも思ってないから」
ルコアが気遣うと、
「ホントに……?」
上目遣いで問い掛けてくる様子はやっぱり、
『まだまだ子供だな』
と思わされた。どんなに肉体的には成熟していても人間の場合の<成人>とは精神面が伴ってないと十分じゃないのを実感するよ。
それでいて<獣人>達はいざ戦いとなればそれこそ年齢なんか関係なく<戦う顔>になるのがすごいとも思う。敵に対しては容赦も躊躇もない。
今はホビットMk-Ⅱがしっかりと周囲を警戒してくれてるからレオンやオオカミ竜の脅威もビクキアテグ村には届かない。
ただ、
<肉を得るための狩り>
となればレオンやオオカミ竜らとも衝突する場合はあるんだよな。




