黎明編 ヤンデレなアラニーズ
ここで黎明がサディマ相手に一悶着でも起こす方が物語的には絵になるのかもしれない。望まれるのかもしれない。だが現実ではそれを切っ掛けに事件に至ることも実際にあるんだ。でも黎明は不機嫌そうにしながらもサディマに食って掛かるようなことはしないでいてくれた。
未来相手なら間違いなく食って掛かるところだろうに、今は抑えてくれてるんだ。ルコアもそれには気付いていて、
「ありがとう、黎明」
サディマが去った後で黎明と視線を合わせて礼を口にした。その様子を、プラントで収穫された作物を持ってきたホビットMk-Ⅱのカメラが捉えていた。
この様子を見る限り今の時点では大丈夫だと感じる。自分の感情ばかりを優先して他人に理不尽に噛み付いたりはしないし、未来に対して噛み付くのもあくまで、
『相手が家族だから甘えてる』
だけなのが分かる。その上で噛み付かれてる側の未来が受け流せているから、
『単なるレクリエーションとして成立してる』
と捉えることもできるわけだ。もしこれで未来の方が本気で苛ついているようなら、
<好ましくない振る舞い>
として黎明を諌める必要も出てくるとは思う。そしてサディマに対しても未来にやってるような感じで噛み付くようならそれこそ。
で、噛み付く相手が<子供>だった場合はなおさら、
『子供同士の問題は子供自身に解決させる』
で放置するのが正しいとは思わない。
『大人相手に噛み付くのは諌めるが子供相手に噛み付くのは放置する』
なんてのはただの<ダブスタ>だろうと思うんだよ。
でも今のところ黎明はわきまえてくれている。それはルコアがちゃんと彼女を気遣ってくれているからというのも間違いなくある気がする。ルコアが気遣い労ってくれている実感があるから黎明の方も精神的な余裕を持ててるのはあるはずなんだ。
と言うか、ルコアだけじゃないな。大前提として彼女をこの世に送り出した張本人であるビアンカや久利生がそもそも彼女の存在を全肯定してくれている実感があればこそだと思う。
それがなければ黎明はもっとルコアに依存し執着し、
『ルコアの存在だけが自分を自分として成立させてくれる』
みたいな思い込みを拗らせていわゆる、
<ヤンデレ>
的な在り方を見せていた可能性があったんじゃないかな。黎明の生来の気性からすると内罰的な性分になるよりも他者に対して攻撃的になる可能性の方がはるかに高い気がするし。
<ヤンデレなアラニーズ>
とか、怖すぎるだろう。社会的にも大きなリスクになるのは間違いない。




