黎明編 切っ掛け
『ジャンクフードで食欲さえ満たしていれば健康的に生きられるわけじゃない』
これはまさしくそうだと思う。エンタメ作品は楽しいしストレスを和らげてくれるのは事実だと俺も思う。栄養価についてよく練られた<正しい食事>だけじゃなくたまにはジャンクフードを気楽に食べてリラックスするのも悪いことじゃないと思うってる。
でもそれだけじゃ駄目なのも事実のはずなんだ。
そのために必要なものを黎明達は学んでる真っ最中だ。
そんな黎明が今日はルコアと一緒にコーネリアス号に訪れていた。
「やあ、ルコア、黎明、こんにちは」
蒼穹を会わせるために敢えて狙ってる灯と違って今回はたまたま時間がかち合ったサディマが笑顔で挨拶してくる。するとルコアも少し照れくさそうに微笑みながら、
「こんにちは。すっかりここの暮らしにも慣れたみたいですね」
そう応えた。しかし、
「……こんにちは……」
黎明はむしろ少し不機嫌そうだった。ルコアがサディマと顔を合わせて少しとはいえ照れくさそうにしてるのが気に入らなかったようだ。
だが、ルコアは別にサディマをそこまで意識してるわけじゃない。あくまで爽やかイケメンな彼に対して<イケメン芸能人>のような感じで見ているだけなのは分かっている。
「私の好みのタイプってわけでもないんですけどね。でもやっぱりカッコいいなとは素直に思います」
と、ルコアも語っている。あくまでその程度なんだ。なのに黎明は明らかに嫉妬していた。
<恋愛>というのはえてしてそういう部分もあるものなのは分かっているし別に異常だとは思わないものの、やや過剰になりつつある気はしてしまう。
『気にし過ぎじゃないのか?』
地球人社会では大抵そんな風に思われる程度の話なんだろう。けれど、地球人社会における<事件>のかなりの部分を実は<恋愛感情のもつれを切っ掛けとしたもの>が占めてるのもまた事実だった。
<痴情のもつれ>
<ストーカー>
それらはまさしくど真ん中のはずだ。ロボットが身を挺して止めてくれるから取り返しのつかない事態にまで至るケースは稀なものの、刑事事件にまではならないのが大半なものの、そこでのいざこざは<民事裁判>にまで発展する事例は決して少なくないんだ。
『パートナーの浮気相手の自宅や勤務先に押し掛けて騒ぎを起こした』
なんてのはそれこそ珍しくもない。これもメイトギアをはじめとしたロボットが間に入ってくれるから刑事事件にまではならなくても、これで互いに相手を訴えるなんてこともあるんだよなあ。




