黎明編 性的アピール
「……!」
ルコアが未来の体を見て視線を逸らし顔を赤くしてるのに気付いて、
「私も着替えよ~」
黎明も躊躇うことなくTシャツを脱いだ。<ランジェリー>の類は身に着けたがらない彼女のために用意した<バストを支える機能付きのTシャツだ。要するに『カップとワイヤーの機能を持たせた』ということか。地球人社会ではコストがかかる割に需要があまりなくて商品としてはほとんど存在しないそうだが、ここではまだその辺は関係ないから、
<服にあまり頓着しない女性>
には重宝されている。と言うか、その辺を気にしてるのはシモーヌとシオとビアンカくらいのものか。ルイーゼに至っては締め付けられるのを嫌ってそれすら使わない。ノーブラの上にTシャツを着てるだけだ。こういうところも地球人社会との大きな違いだろうな。<地球人社会の常識>は通用しないと。
だからそこそこ立派なバストを兄の未来の前でも父親の久利生の前でも、たとえ俺が見ていても平然と晒してくる。<地球人的な羞恥心>を持たないからだ。これは年齢が上がっても変わらない。実際、光も灯もいまだにまるで頓着しないし俺の前でも平気で全裸になるし。これは俺の方が『彼女らをそういう目で見ないから』というのもあるのかもしれないが。
<猥褻なものを見る目>
というのを向けてくる異性がいないんだ。<発情>自体、特に獣人種はパートナー相手にしかしないんだよ。地球人のメンタリティを持つ俺達はちょっとはそういうのもないわけじゃないとはいえ露骨に表には出さないからなあ。
まあその辺も<人間>が増えてくれば徐々に変化していくかもしれないもののその時はその時に改めて考えるさ。
とにかく、黎明も上半身裸になって引き締まって均整の取れた自身の肉体をアピールするかのようにルコアに見せ付けた。
が、<地球人由来のメンタリティ>を持つルコアとしては若い女性が家族とはいえ男性の前でそういう格好をすることについては多少の抵抗感もあるからか少し困ったような表情を見せただけだった。明らかに、
『性的アピールとは受け取っていない』
のが分かる。すると、
「ずるい! 未来の時と反応違う!」
と声を上げた。まあまだ黎明には<性的アピール>というもの自体がよく分かってないんだろうな。単純に、
『精悍な体を見て喜んでる』
くらいにしか受け取れていないんだと思う。『異性の体と同性の体は違う』というニュアンスがピンと来てないわけか。
「私もうこんな一人前な体なんだよ! 私のも見て喜んでよ!」
とか言いながらルコアに迫るくらいには。




