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ふたりの場所  作者: shca9
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9/15

虚飾の鳥籠

(なんで、あんな男について来ちゃったんだろう…)

二人で住むには広すぎるマンションの部屋、ダイニングテーブルに突っ伏した梨沙は思った。


あの時の篤は頼りがいのあるカッコいい男だった。困ってる私を助けてくれて新しいステキな世界を見せてくれた。この人となら幸せになれるかも、と。


貴久くんは仕事が大変だから私は居ないほうがいい。自分の家族のことで貴久を心配させてはいけない。そう言い聞かせてアパートを解約してこの部屋に来た。


だが、篤は自分でお金を稼いだこともないボンボンだった。

周りには経営者だと言っているが親の仕事を手伝っているだけ。今住んでる部屋も親の持ち物。

誰にでも横柄な態度で接し、周りにいるのは金目当ての人間だけ。お金で苦労する母親を見て育ってきた梨沙は、軽々しく大金を使う篤に怒りさえ覚えた。

でも篤、いや篤のお金と離れられない。故郷の家族のことを思うと申し訳なくて胸が痛い。

「どうしたらいいの…」

涙が出そうになったその時、スマホが鳴った。知らない電話番号だ。

「…はい。」

「あの、北條と申しますが。」

(貴久くん!)

悲しみの涙はその声で嬉し涙に変わった。

「ありがとう。電話くれて。」

「何があったか聞かせてもらえる?」

素っ気ない貴久の言葉に梨沙は黙り込んだ。やっぱり勝手にいなくなったことを怒ってるんだ。仕方ない、そう思われて当然のことを私はやってしまったんだ。

「…お願いだから一度会ってほしい。許してもらえるとは思ってないけど、貴久くんに謝りたいの…」

少しの沈黙の後、ため息が聞こえた。

「来場の土曜の午後なら空いてる。時間と場所は合わせるよ。」

「ありがとう…貴久くん。」

梨沙はもっと話したい気持ちを抑えて電話を切った。

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