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ふたりの場所  作者: shca9
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訪問者

「香奈ちゃん、冷奴もらえる?」

「俺は薩摩揚げ!」

「はぁい、ちょっと待ってね。」

注文を捌きながら香奈は角打ちの入り口にチラリと目をやる。

(貴久さん、最近来ないなぁ…)

篤が貴久に絡んだ日から2週間、週に一度は顔を出していた貴久の姿は角打ちから消えた。

(仕事忙しいのかな?身体壊したりしてないかな?)

「香奈ちゃん、どうした?北條くんが来ないから心配か?」

「そんなんじゃないですよ。空いたグラス下げましょうか?」

香奈は気持ちを悟られまいといつものように振る舞った。


翌日、開店に備えて香奈が店の掃除をしていると店の扉が開く音がした。

「あ…」

振り向いた香奈の目に飛び込んできたのは2週間前に店を騒がせた男と一緒にいた梨沙だった。あの日とは違い、髪を一つに束ねて黒のTシャツとデニムを着た梨沙は別人のようだった。

「何か御用ですか?」

刺々しい言葉が香奈の口から出た。

「すみません、突然。あの…貴久くん、いえ北條さんは最近来られてますか?」

梨沙はおどおどと話した。

「貴久くん!?あ、えっと北條さんは最近来られてません。」

動揺を隠すように香奈は言った。

「そうですか…あの、勝手なお願いで申し訳ないんですが、北條さんが来られたらこれを渡してもらえませんか?」

梨沙は小さな封筒を差し出した。

「それと…」

続けて茶封筒を取り出した。

「こないだは連れがご迷惑をおかけしてすみませんでした。これ、受け取ってください。」




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