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新たな擬似的世界

「ワタシの知りたい事?」


「そうだよ。最後に君が知りたい事……そのために過去を体験するんだ。アインズ様にはそれが出来るから。勿論、条件はあるんだけど……」


「それは後から私が説明する。過去だとして、君の記録が消されるわけじゃない。そのままで疑似体験すると思ってくれたらいい」


 アインズが擬似的世界を生み出す準備は出来ている。問題になるのは、アダムが何を望むのか。


 その答えによって、どの時間に目を覚ますのかが変化する。


 例えば、アダムのマスターであるエヴァ博士殺害の犯人を見つける。その場合、マスターが殺害されるよりも前から始まる。


 カイトが経験した時はそうだったからだ。


「了解しました。ワタシが求める物はマスターが残した遺物。それを博士達は躍起になって探していたようですが、何処に隠されているのかはワタシにも分かっていませんし、中身も知りません」


 アダムのマスターであるエヴァ博士が遺した物。それはアダムのために用意した物なのか。


「……真犯人を見つけたくないんですか」


 アダムにとって、エヴァ博士殺害の真犯人を見つけるよりも優先される物なのか。カイトは理解出来ないような顔をしている。


「擬似的世界だとしても、マスターを助ける事が出来るかもしれないのに」


「優先度の高い方を選びました。マスターがワタシのために遺した物であれば、それを知る必要があります。でなければ、マスターに合わせる顔がありません」


「それは……分かる気がします」


 彼女がアダムに遺した物があるとすれば、犯人捜しよりも、そちらを優先してもおかしくはない。


「私としてはどちらでも同じです。殺害の動機次第では繋がる事になるのでね」


 エヴァ博士殺害の理由。それがアダムに遺した遺物であれば、最終的には行き着く場所が同じになる可能性はある。


「君の未練は分かった。今から擬似的世界の舞台を用意する」


 アインズはアダムの記録の本と関係者の本が重なっていく。それだけでなく、本棚から新たな本も数冊追加された。


「これは……ヤツの仕業じゃない。彼にとっての必要な記憶か。だとしたら、これは新しいパターンになるか」


 擬似的世界の本が完成。それは光に包まれていて、アダムは擬似的世界の中へと吸い込まれていく。


「次は僕の番みたいですね。何か注意事項はありますか?」


 カイトの体が徐々に擬似的世界の光に吸い込まれていく。アダムの時と違い、一瞬でないのは例外的存在……別の世界の住人というのもあるのか。


「私も使い魔を送るのは初の試みだ。不明な点も出てくるだろう。それに……君自身の姿ではなく、別の体が準備されるだろう。参加者の一人なのか、もしくは追加されるのか。その時は隙を見て、アダムに教えてくれたらいい。私はアダムの視点で見ているから」


「分かりました!! 影ながら協力します」


 擬似的世界において、アインズはアダムの視点を借りて、その世界を読み進めて行く。そして、彼女の声はアダムにだけ聴こえるようになっている。


 存在しない人物が登場すれば、カイトと分かるだろうが……存在する人物にカイトが乗り移っていた場合、本人に教えてもらうしかないのか。


「下手な動きをして、殺されるのは駄目だぞ。いや……私が声を掛けた方がいいか。近くにいれば、カイトの頭の中に呼び掛ける事も可能だろう」


 カイトはアインズの使い魔となっている。それを利用すれば、通信が可能になるかもしれない。距離的な問題はあるだろうが……


「それは前みたいな感じですね」


 カイトはアインズが頭の中に話してくる事を経験しており、戸惑う事はないだろう。


「後は……時間切れか。今回、カイトの参戦に……楽しみだ」


 アインズは忠告を最後まで告げる前に、カイトは擬似的世界へ。

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