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死体発見現場


『ここから……か。私の声が響くかもしれないが、声に出して返事しなくて構わない。その言葉を頭に浮かべるだけで私に伝わるから。理解は出来ましたか?』


「問題ありません。アインズ様を新たなマスター……には認識不可。ですが、何かあれば命令に従います」


『それで構わない。アダムのマスターはエヴァ博士から書き換える事は出来ない。だからこそ、処分するしかなかったのかもしれないか』


 アダムを初期化して、エヴァ博士以外をマスターとして承認させれば、彼の中にある情報を引き出せたはず。それが出来なかったのは、新しいマスターを作れないように設定されていたからだろう。


『唯一、それを書き直す事が出来る人物をすでに死んでいるわけだからね』


 擬似的世界の始まりは、エヴァ博士の死体が目の前にある状況からだった。


 彼女の死体は椅子に座った状態で亡くなっている。見た感じでは外傷らしき物は見当たらない。


『部屋の状況を確認。それから彼女を死体を調べるぞ。前回はそれが出来てないのだろ?』


「そうです。ワタシは死を認識せず、マスターを目覚めさせようとしてました」


『ここはエヴァ博士の部屋で間違いないな』


「ワタシはそう判断します。証明するための調査を開始」


 アダムはエヴァ博士の部屋を調べ始める。


 エヴァ博士の死体が発見されたのは彼女の部屋。彼の記録にも記されていたようだ。


 だが、彼女の部屋というだけで、内装までの情報はなし。何かしらの手掛かり等も記録には書かれていないのだろう。


 だからこそ、アダムの……アインズの目で調べる必要が出てくる。


『それにしても……研究者の部屋とは思えないな。きちんと整理されているのもそうだが……無闇に物へ触れなくても良い。荒らしたとして、疑われるわけにもいかない』


「了解。見る事に専念します。そして、アインズの質問に答えます。ここはマスターの私室であり、研究室は別にあります。その研究室はワタシの部屋でもあります」


エヴァ博士の部屋はキッチン、ベッド、机と椅子、本棚。クマのぬいぐるみが置いてあるだけ。研究に関係する物は一切置いていない。


 本棚にあるのも文献、研究書ではない。本がある事自体が珍しい時代……世界ではある。カイトがいた世界……魔法使いがいた世界とはまるで違う。いや……魔導具と似た感じはあるのか。


「今の時間は九時半。十分後、他の博士達がこの部屋に到着します」


『朝の集会があるみたいだな。それに彼女が来ない事を不自然だと判断したわけだ。調べる時間はあまりないか』


 アダムが余計な行動をすれば、この事件の関係者である博士達に怪しまれる。


 エヴァ博士が死んだ事を報告するにしても、その行動はアダムに感情が生まれた事を博士達に思われてしまう。


 それが正解なのかは、アインズにも分からないだろう。

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