五人の博士
『仕方がない。ここはこのままで行くしかない。その博士達が早めに来る可能性がある。下手に動くのも止めておこう。カイトが来てもおかしくないからね』
この場にいるのはアダムとエヴァ博士の死体のみ。
カイトもこの舞台にいるはずであり、合流しようとするだろう。それも本人の姿ではなく、別の姿。だからこそ、序盤で知る必要があるのはアインズも百も承知だろう。
『問題は誰になっているのか。それとも新たな参加者として登場するのか。その場合、君なら分かるはずだ』
本来、いない人物がいればカイトで確定。それが一番分かりやすくはあるだろう。その人物が真犯人という事もない。
周囲がどう思うのかは別になるだろうが。
『一番厄介なのは……アダムには関係ない話か』
カイトが死ぬ相手に憑依している場合、彼をそれを回避する必要が出てくる。でなければ、死神探偵事務所に戻れず、その場で魂が消滅してしまうからだ。
それをアダムが気にするべきではない話ではない。
「カイトもこの世界に来ているのですね。別の姿になっている……了解しました」
アダムもカイトが別の姿だとしても、感知する事が可能なのか。それに頼らずとも、カイトがアインズの側に寄れば、問題はない事になる。
「この島にいる人間……博士は五人です。モリー博士、アーメン博士、ドナテルロ博士、キャメロン博士、レオ博士。その人間になっている可能性あり」
今回の舞台は研究者のために用意された島。
それに五人の博士達の記憶も擬似的世界が作る材料となっており、登場するのは当然。記憶の本があるという事は、博士達は……
エヴァ博士を含めた六人の研究者が同じ分野で、其々の研究に没頭している。当然、研究分野はロボット開発。
エヴァ殺害理由。他の人間……博士が研究を略奪するためとも考えられはするが……
アインズは謎解きを楽しむため、博士達の記憶は詳しく調べていない。ある程度の知識に留め、この世界で調べる事にしている。
『一応、登場人物は私も把握している。カイトが憑依する事で変化はあるかだな。姿はともかくとして、仕草や表情等か』
ロボットとは違い、人間には表情や仕草、声で感情の変化が分かる。
それが違えば、いつもと違う事と判断しやすいだろう。とはいえ、エヴァ博士の死を知らなければ、誰もが動揺してもおかしくはない。
『……先に確認しておく。擬似的世界がこのタイミングになった理由を、君自身は分かっているのだろうか?』
アダムがエヴァ博士を守れなかった事を未練としたのなら、ここよりも前に遡れただろう。
だが、彼が求めたのはエヴァ博士が遺したであろう遺物。それが何なのかだ。
「思案中……エヴァ博士はワタシが求める事に答える事はないと考えます」
『確かに……アダムが遺物を知っているのはおかしい話になるか。エヴァ博士達がここに来たのは?』




