賭け
「だ、だったら!! 真犯人がいるはずです。第一発見者という事は認めてるんです。彼が殺してるなら、素直に答えると思います」
とはいえ、アダムにはロックされた記録がある。アインズはそれを見つけられないらしいが、マスター殺害した可能性はゼロではなくなる。
「かもしれないな。だが、第一発見者以外でアダムが疑われる理由はあるようだ。それは」
「ワタシが博士達を殺した……ともされています。動機は博士達がマスター殺害を疑ったため」
「その通り。記憶の本にはそう示されている。いや、疑われているが正しいか。彼が仇討ちのために殺害。その映像が残されていたようだ」
アダムはマスター殺害以外に余罪があった。
エヴァ以外の博士を殺害。その証拠が映像として残されている。
「これに関しては彼の記録には……」
「記録にはありません。人間は殺していません」
アダムはマスター殺害だけでなく、他の博士……人間を殺害したのを否定した。
「それは真犯人に偽装されたんじゃないですか? 彼の記録にないのなら」
「落ち着きなさい。謎を持ち込まれた以上、私が解くのは当然ですが……ヤツとの賭けを忘れてはいないでしょうね。余計な感情を持つのは命取りになりかねないですよ」
アインズがカイトに言う、ヤツというのは彼女と同じ死神。その死神と彼はある賭けをしている。
未解決事件を解決出来るか否か。それはヤツ自身が無関係な未解決事件でも発生する。
それにカイトは参加しなければならない。その場で彼自身が死ねば、魂も消滅してしまう。賭けも敗北が決定してしまう。
カイト側の勝利は一度だけでなく、未解決事件の複数回の解決しなければならない。
だが、未解決事件で終わった物にどうやって参加するのか。
「……だ、大丈夫です。気持ちが重なってしまって」
アインズの言葉にカイトは落ち着きを取り戻した。
「謎を解くという事は、擬似的世界を作り出すんですよね?」
擬似的世界。未解決事件の舞台を参加者の記憶を元にアインズが生み出す世界。
アダムの記録だけでなく、その被害者達…死者の記憶も使われる。
普通に進行すれば、同じ展開になり、犯人は見つからないまま。
それを覆し、犯人を見つける事が重要になる。
だが、犯人を見つけたとして、現実で起きた事に変化はなし。謎解きをして、犯人の正体が分かるだけの自己満足になってしまう。
だとしても、依頼者はそれを求め、アインズがそれに答えてきた。
「そうなるわけだが……アダムが求める物は何かを聴いておく。君の未練は何だ?」
アインズはアダムに何を求めるのかを尋ねた。単なるロボットであれば、相手の指示を待つだけで、答える事は出来ないだろう。
「未練……未練というのは?」
「アダムが……君が知りたい事だよ」
カイトが優しく答える。それ次第で、彼はマスターに再会出来る可能性がある。それが擬似的世界のマスターだとしても……彼女には間違いはない。




