アイの目
『……もしかすると、アレの可能性があるか。カイトが05である以上、侵入者……新しい登場人物はないと考えていい』
エヴァを殺害したのは島の侵入者……新しい登場人物ではない。エヴァだけなら兎も角、博士達全員を殺害している。誰にも見られないのは不可能だろう。まして、監視カメラが至るところに設置されている。
侵入者が全てを把握出来るわけじゃない。
『原因は先程の私と君との会話……カイトに関連する話にあるかもしれないな』
「カイトの話……監視カメラ……アイが見ているという事ですか?」
この時間、博士達の補助はなく、中央塔で監視カメラを見ているのはアイのみ。
研究室は中央塔の監視カメラの対象ではないが、部屋前には置かれているわけだ。
そこから向かってくる相手を見る事は可能だろう。アイもこの時間に行動する人物を警戒するのは当然ともいえる。
『カイトがアイを警戒している事を伝えた事で、僅かながらに君の中にも怪しむ心が生まれたのか。博士達全員に今の行動は伝えているので、問題ないはずです』
博士達に知られず、隠密行動になった場合、人の目が気になるのは当たり前。監視カメラが無数に設置されているのだから余計にだろう。
今回、博士達に報告している事はその負担を減らす事にもなる。アイがアダムを怪しむ事は一切ないはず。
『監視カメラは気にせず進もう。何かあれば、中央塔で確認すればいい。……こっちが確認されるのか』
アイがアダム単独で中央塔へ来る事を知らない。その理由を尋ねられた場合、ドアの修理のためという答えは用意している。
先にモリーが来ていた場合、アイに伝えてくれているだろう。
「分かりました。ですが……念のために少し部屋を見ます」
エヴァの部屋はドアが壊れたままであり、入るのは容易だ。誰かが部屋に侵入した事は監視カメラでも分かる事だが……
『君が寝ている間に何か起きている可能性もある。後からドアの修理をするわけだが……気になるのなら見ておいて構わない』
アダムはエヴァの部屋の中を覗き見る。
「……部屋に荒らされた変化はありません」
『私の記憶からしてもそうだな。問題はなさそうだ。念に入りに探すのは後にして、先に行くぞ』
早々に部屋を出て、中央塔への道のりにアダムは戻る。
『……ん? 気の所為か。いや……一つ聞きたい事があるんだが……監視カメラの位置が変わる事はあるのか? 移動するわけじゃなく、上下左右、角度が自動的に変化するのか』
アインズの目には、アダムの移動するのを監視するようにカメラの向きが変化したように見えたようだ。




