暗視機能
『全員からの返事が来たのはありがたい。この時間、誰も死んでいないわけだ』
アダムが連絡したのは携帯ではなく、PC。全員が研究室にいるという事。
博士全員が死んではおらず、研究室に残っている。誰も殺害にすら向かっていない。
ただし、モリーだけが移動するわけになるが、中央塔に向かうのであれば、他の研究室に寄る時間はない。
「それでは中央塔へ向かいましょう」
アダムは何も持たず、研究室から出ようとする。
武器等を持てば怪しまれる。持ったとしても、人間を攻擊するのは不可。何も持たないのが正解だろう。
『武器は持たなくて正解だと思うが、明かりは大丈夫なのか?』
今の時間は深夜。整備されてはいるのものの、明かりが多く置かれているわけではない。暗闇の中を移動する事になる。
「問題ありません。暗視機能があります。加えて、ライトも搭載。マスター移動時も安全です。中央塔の監視カメラもそうです。アインズ様は明かりが必要ですか?」
『大丈夫だ。君が見えるのなら問題ない。私の目も暗闇には慣れているからな。他のロボット、04達もその機能はありそうだ』
モリー達が夜の時間に外へ出る事は滅多にないだろうが、対策は用意しているはずであり、パートナーのロボットに付けていると考えていいだろう。
「そのはずです。博士単独で外に出る事は滅多にありませんから」
『それをエヴァがしたわけだが……距離的には問題ないのか。遠くへ行く場合は危険だな』
研究室から部屋までは目と鼻の先。そこまでの距離はなく、危険な場所もない。小さなライトさえあれば、移動出来る。
ただし、中央塔や他の博士達の場所に向かうとなれば話は変わってくる。
島は六芒星にもなっている事から、海に落ちる可能性もゼロではない。全ての道が整備されているわけでもないのは、中央塔や研究室へ移動時に分かっている。
中央塔へ来るのはモリーと04。彼女だけで来る事はない。それはモリー以外でもそうであり、エヴァ以外の博士はどうやって殺されたのだろうか。
アダムはエヴァの研究室から外に出た。彼が眠っている間、周囲に罠を仕掛けた感じはない。
研究室の監視カメラにも映るはずであり、一度戻っているはずの博士達が来たのなら、中央塔の監視カメラに映るはずだ。
『どうだ? 記録……ここを通った記憶が蘇る事はあるのか?』
エヴァが殺害された時間。アダムはここを通る際の記録はないが、記憶が蘇る事はないか。
暗視装置により、周囲を確認出来たわけだが、誰かいるのを見落としたりしてなかったのか。
「……記録が復元する事はなさそうです。ただ……」
アダムは記録が蘇る事を否定したが、ある事を口にする。




