アダム
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「アインズ様。彼を運ぶのは無理でしたが、ここに来てくれました」
「ようこそ。ここは死神探偵事務所であり、図書館でもある。君の……アダムの記録はカイトが触れた事により、取り出させて貰った。当然、二人の話も聞こえていたよ」
アインズはロボットの記録の本を読みながら、カイトと彼が来るのを待っていたようだ。
彼女のいる部屋には無数、幾千の魂に書かれた記憶が本になって置かれている。資料室というより、図書館並だ。
アインズの姿。腰まで伸びる紫色の髪。何でも見通すような緑色の瞳。彫刻のような綺麗な顔立ちは健在であり、黒のマント姿は死神ではなく、魔法使いのよう。
「アダム? ……それがワタシの名前……」
カイトはロボットを死神探偵事務所に案内し、彼は素直について来た。
それもアインズが住む場所、死神探偵事務所は人によっては違うように見える。それはロボットも同じ。
其々が馴染みのある場所。だからこそ、中に誘い込まれてしまうわけだ。勿論、外観だけで、内装は違っているのだが……
そして、アインズはロボットの記録を本にして読み、彼の名前を口にした。
「マスターから名前を貰っていたわけですね」
カイトもアインズではないが、もう一人の主から名前を得た。それを彼は大切にしている。
「否定。ワタシの名前はアダムではありません。マスターはワタシの事を……思い出せません。ロックされているようです」
彼はアインズが呼んだアダムの名を否定した。自身の名前……マスターに付けられた名はロックされた状態らしい。
「周りからはそう呼ばれていたようだが……封印された情報か。そのような物はないように思えるが……それも面白いな。ないのにあるというわけだ」
アインズは本から目を離し、ロボット本人に視線を向けた。
「アインズ様。何故、彼はマスターが呼んでいた名前ではなく、アダムと呼ばれていたんですか? ……マスターにだけ呼んで貰っていた?」
「それは君と……カイトと同じだな。本来、彼は番号で呼ばれていたようだ」
カイトがいた世界は魔法使いが存在しており、彼は魔法使いの従者だった。そして、従者は魔法使いに番号で呼ばれていた。ロボットもそれと同じという事だ。
「ワタシはEV01型。エヴァ博士が造った最初のロボットです」
EVが示すのはエヴァ。作成者の略称かあり、その後に数字が振られるのだろう。それに関しての記録はロボットも持ち合わせているようだ。
「だったら、彼も数字で呼ばれるんじゃ……」
EV01型からアダムという名を呼ばれるようになったのか。
「それは感情が芽生えた最初のロボットが理由のようだ。彼の世界で最初の人間がアダムであり、それになぞらえたらしい」




