通信機
『毒の容器じゃなく、連絡…通信機だ。部屋に通信機はあったのか。彼女の遺体付近でそれらしき物はなかったように見えたが』
「通信機ですか? 部屋にはありません。携帯型をマスターは所持していましたが……遺体、その周囲には見つかっていません」
部屋に通信機はなし。小型通信機をエヴァは所持していたらしいが、遺体の所持品にはなく、遺体の手が届く範囲にもなかった。
「これも可能性は話。貴方達が毒、体調に異変を感じた場合、離れているパートナーを呼ぶの?」
「……状況が状況だ。パートナーよりもお前達の誰かを呼ぶ。下手すれば、パートナーは何も出来ずにフリーズしている事も考えられるからな。医療関係なら、お前になるか」
モリーの言葉にアーメンは返答する。
助けを求めるのはパートナーではなく、博士達。ロボットが指示なく、臨機応変に動く事が出来るのか。分野違いが分かっているのなら、余計にだ。
パートナーから他の博士達に連絡するにしても、時間のロスになる。勿論、信用していないという理由もあるかもしれないが……
実際、アダムはエヴァの遺体を見て、指示待ちをしていた。何をすればいいか判断がつかなかった。助ける事は出来なかったわけだ。
「それが何? エヴァは私達じゃなく、01に助けを求めただけでしょ。毒で平常な思考が出来なかったかもしれないじゃない。いつものように頼んだみたいな」
「キャメロン博士の言いたい事は分かります。パートナーに頼む事が多々ありますから」
博士達全員がパートナーに指示をして、何かを頼む事はある。それの延長線。ないとも言い切れない。
だからこそ、モリーは可能性の話だと先に述べたわけだ。
『本題はここからだろうな。問題なのは、エヴァの部屋に通信機があるかないか』
「どっちにしても、連絡手段が必要になる。エヴァの部屋に通信機は設置されている? 私の部屋にはないわ。アーメン達はどう?」
「俺は携帯を持っているだけで、部屋には置いていない。研究室にはあるが」
「私もそうね。部屋に置いておく必要はないし」
「僕もです。部屋よりも研究室にいる方が多いですし、連絡も携帯を使うのは少ないですから」
「マスターも同じです。部屋に通信機はありません」
アダムは素直に答えた。三人がそうであるなら、どの部屋にも通信機は置いていない。
「当然、私も同じ。だとしたら、そこに置いてあるのは? 彼女の携帯を私は見た事があるのよ。キャメロン達もあると思うわ」
モリーの視線を追うと、機器の上に携帯と呼ばれる物が置かれていた。




