人体模型
「勝手にやらせてもらうぞ。エヴァの情報があれば、ちゃんと教えてやるから安心しろ」
アーメンは隙間を縫うようにアダムと入口の間をすり抜け、研究室に幾つもあるPCの一つ前に座った。
モリーの研究室同様、複数のPCが置かれており、アダム用のカプセルが一つ。奥にも部屋があるのも同じ。
研究室の造りが同じであれば、そうなる。地下に関しては増築した可能性もあるが、それをアダムにさせないのはおかしい。エヴァ一人でするには無理がある。
最初から用意されていたと考えるべき。ロックは確実にされているだろうが。
「どれだけ情報を欲してるのよ。早い物勝ちみたいにPC前に座ってさ。複数あるんだから、逃げる物でもないんだし」
キャメロンもアダムの横を抜けて、機器に目を向けず、別のPC前に立つ。当然、情報があるのはPC内だと博士達は思っているようだ。
「用意された研究室だから、似ているのも当然ですが……エヴァ博士はこんなのも用意しているんだ」
レオはすぐにPCには向かわず、中を確認。自身の研究室との比較をしている。
そこに研究室には似つかわない物がある。いや、彼女の研究室にあってもおかしくはないのか。モリーの研究室にはなかったが。
『人体模型だな。人間を目指して、ロボットを造っていたとして、必要な物なのか?』
人体模型。人間の体の仕組みを示す人形。肉体だけでなく、臓器まで知る事が出来る。
アダムの内部構造がこれに模した形には流石になってはいないだろう。
「分かりません。マスターが死体を含め、人間を実験体として使った記録はありません」
エヴァはロボットを人間にするために、人体実験体をするまではしなかったらしい。
それをしていたのなら、アダムも人間への攻擊を可能にしていた可能性はあった。相手を実験体として見たのであればの話だ。
「エヴァはこんな事を言っていたわよね。魂はどの部分に存在するのか。感情は何処に備わっているのか。心臓? 脳? 五感はロボットも把握出来るようになっているのに」
「何度も聞かされたやつだ。実際、今の状況のお陰なのか、01は俺達のロボットの中で一番人間みたいな考えをしているからな」
アーメンはPCを起動されながら、モリーの言葉に返答する。
「……っと、パスワードを読み解く必要がないのかよ。研究室が厳重とはいえ、警戒心が……それともわざとか?」
「私が触ってるのもそれみたいだわ。普通に開く事が出来たんだけど? 人間だから問題ない……わけじゃないでしょ」
エヴァのPCを起動して、中身を見るためにはIDやパスワードが必要。だが、アーメンやキャメロンが調べるにあたり、全てが解除された状態になっていた。
キャメロン達がパートナーに解読を任せた場合、ウイルスを流す事も考えられるわけだが、その対策をするなら、ロックはされた状態でなければ意味がない。
ロックがされてるからこそ、パートナーに頼む必要があるからだ。




